tnlabo’s blog   「付加価値」概念を基本に経済、経営、労働、環境等についての論評

人間が住む地球環境を、より豊かでより快適なものにするために付加価値をどう創りどう使うか。

日銀の金融緩和と2%インフレ目標

2014年11月04日 15時02分47秒 | 経済
日銀の金融緩和と2%インフレ目標
 前回も書きましたように、黒田総裁は、今回の金融緩和に際し、「早期にデフレを脱却し、2パーセントのインフレ目標を確実にするため」という趣旨を強調していました。
 為替の円安は意識していない、消費増税は政府の事で、関係ないという説明もあったようです。

 大方の意見は、総裁発言は建前論として、消費税増税による消費不振対策とか、GPIFの株式運用枠増加と歩調を合わせた、株価上昇による景気振興策とか、もう一段の円安を狙ったデフレ脱出促進策とかそれぞれの立場からの思惑を述べ合っているようです。

 いずれにしても、現状では今回の金融緩和も日本経済に対してはプラスの方がマイナスより大きいと考えていますが、いくつか問題点はあるように思います。

 先ずデフレ脱出とインフレ目標2パーセントについてです。
 デフレからの早期脱出という点を見てみますと、$1=¥100を実現したあたりから、日本の物価は国際比較して高いとは言えないように思います。
 アメリカ、イギリス、フランス、ドイツ北欧諸国、オーストラリア、などなど、日常の生活物価は「日本より高い」という感じになっているようです。かつて、外国から帰って、「日本は物価が高い、外国は安いよ」とか「日本のタクシー代は世界一高い」などと言っていたのとは大違いのようです。

 日本の物価が外国より高くないといった状況は、日本はもう物価を下げる必要はないということで、それならば、日本はすでにデフレからの脱出は終了しています。
 現に、消費増税、輸入インフレを除いても日本の物価はプラスです。おそらくもうマイナスにはならないでしょう(また円高にならない限り)。

 2パーセントのインフレ目標は、いわばデフレ脱出の景気づけのようなものでしたらから、脱出完了なら、インフレは2%より1%のほうが良いに決まっています。放っておけば次第に高くなるのがホームメイドインフレの特性です。

 いつも指摘していますように、ホームメイドインフレを起こすのは「国内(賃金)コストの上昇」です。日本は金融緩和ではインフレにならないのです。
 日銀がマネタリーベースを増やしても、その金は日銀に当座預金として溜まっていて、使われていないということになるでしょう。
 
 使われない方が日本経済にとっては健全なのですが、それが使われる危険がないとは言いきれません。 次回その危険性について見て行きましょう。