tnlabo’s blog   「付加価値」概念を基本に経済、経営、労働、環境等についての論評

人間が住む地球環境を、より豊かでより快適なものにするために付加価値をどう創りどう使うか。

付加価値で読む経済分析 (3 経済成長の原動力)

2013年03月17日 12時04分10秒 | 経済
付加価値で読む経済分析 (3 経済成長の原動力)
 労働経済学の視点から経済成長を見ると、重要な要素は、技術革新です。
中世など技術開発の無い時代には、何百年も、経済成長の無いこともあったようです。
 今の日本が、長い間円高デフレに呻吟しながらも、何とか国力をもたせたのは、多くの技術開発で先行することが出来たからでしょう。

 ただ、技術開発で経済成長の「可能性」は生まれるわけですが、経済成長そのものは実現するわけではありません。それを誰か(企業)が生産技術に使って、生産を行い(企業化を行い)初めて経済成長が実現します。
 技術革新を生産技術に使うには「企業家」精神、あるいは「企業化」精神が大事ですが、その際必要になるのが「資本」、つまりおカネです。

 資本がなければ技術革新が生産設備になりません。そこでそのために資本家がカネを出すので、企業の所有者は資本家となり、資本家が幅を利かせたのが初期の資本主義です。

 バーナムが「経営者革命」で書いたように、また、後からドラッカー色々説明しているように、企業が、自分で資本を蓄積して、生産設備に投資するようになり、資本家は経済の第一線から後退し、文化に貢献する「創業家」になったりしています。

 さて、企業が自分で資本を創る(蓄積する)とはどういう事でしょうか。それが前回の図で示した「GDPをL(労働)とC(資本)に配分する」という仕事で、Cに配分されるのが(厳密にはそれから資本費:[配当、金利、賃借料]、さらに法人税などを差し引いた「内部留保」が)企業が自分で貯めた資本です。
 これがきちんと出来れば、企業は自力で存続発展できる存在、サステイナブルなゴーイング・コンサーンとして、GDP生産、経済成長の立派な担い手になるのです。

 そのために、最も大事なのは、企業レベルの労使の分配が、「成長という目的」に照らして合理的(効率的、効果的)に行われることで、解りやすく言えば、「労働分配率の誤りない決定」です(これは、国レベルでも企業レベルでも全く同じです)。

 ということで、今の時代、企業成長、経済成長の成否を決定づけるのは労使の分配関係で、労使関係が決定的に重要な役割を果たします。

 第二次大戦後、ドイツと日本が著しい経済成長を遂げ、1980年代前半には、日本が「ジャパンアズナンバーワン」とまで言われた「真の要因」はここにあるのです。