tnlabo’s blog   「付加価値」概念を基本に経済、経営、労働、環境等についての論評

人間が住む地球環境を、より豊かでより快適なものにするために付加価値をどう創りどう使うか。

国際投機筋は様子見か

2013年03月28日 11時39分57秒 | 経済
国際投機筋は様子見か
 アベノミックスの人気は高まっています。
 考えてみれば、$1当たり10円を超す幅で円安にしたというのはまさに画期的で、こんなことが出来るのなら、もっと早くやっておけば良かったという意見もあるようですが、世の中そう簡単ではないのでしょう。

 アメリカに少し余裕が出来、アジア情勢の緊張感が強まり、ヨーロッパでは、ユーロのどこかで問題が起こるという形で、ユーロ安をいつでも蒸し返すことが出来、ロシアが中国、日本と接近の姿勢を見せるといったいろいろな事情が絡まり合って、それに安倍さんの政権奪還意欲、日本銀行の態度の変化などなど、内外の多くの要因があって、タイミングよく実現できたという所でしょうか。

 アベノミクスというのは安倍さんとエコノミクスを繋げた造語でしょうが、今までの所は、まだ全く経済学とは関係ない面での動きで円をめぐる情勢の変化を国際投機筋の思惑が、それぞれに受け止め、反応しているだけというのが本当の所でしょう。
 対投機資本の心理作戦というのも経済政策の内、と考えれば、経済学だとこじつけは可能かもしれませんが、そういうのはあまり経済学の教科書には出てきません。
 
 例えば、ゼロ金利の下でも、金融緩和は効果があるということになれば、流動性の罠は否定されるわけですが、「無制限の金融緩和をやる」と言って経済不安が収まるのは、これは単に投機筋が、これではカラ売りしても儲けのチャンスがないようだと判断して売るのをやめる、その結果、投機対象と目されたものの下げが止まり、金融環境が一時的に平穏になるというだけの話で、それで経済活動が正常に動き出すとはとても考えられません。

 もともと、マネー資本主義の結果の投機資本主義(ギャンブルマインド)の横行で、あぶく銭の動きが経済そのものだとの勘違いの中で生まれたもので、実体経済中心の本来の経済学から見れば、実体経済には、関係ない輩が実体経済に関連があるように見せかけて、勝手にマネーゲームをやっているだけ、というのが実体ではないでしょうか。

 そういう意味で今の日本経済を見れば、大事なことは、そうした動きの結果、so far 巧くいって株が上がり、企業がwind fall の一時的評価益を得た、というだけですから、これを奇貨として、「出来ればこれを実体経済の改善にうまく繋げられる様工夫、努力しよう」と考えて、日本人の真面目さで頑張ることでしょう。

 幸い、国際投機筋も、今のところ目標が定まらず、気迷い症状のようですが、短期的視点なら、まだまだ円買いが安全と考えているでしょう。円高に戻る恐れは消えません。日本企業にとっては、正にカネと頭の使いどころでしょうか。