tnlabo’s blog   「付加価値」概念を基本に経済、経営、労働、環境等についての論評

人間が住む地球環境を、より豊かでより快適なものにするために付加価値をどう創りどう使うか。

付加価値で読む経済分析 (5 生産性の役割)

2013年03月22日 11時33分06秒 | 経済
付加価値で読む経済分析 (5 生産性の役割)
 今回のシリーズの最初に、経済活動の目的は、社会をより豊かでより快適にするためと書きました。そしてそのための生産活動は企業が担っており、生産した付加価値の分配も基本的には企業労使が担当していると書きました。
 
 より豊かでより快適な社会を創るにはGDPを増やさなければなりませんがもっと厳密に言えば、GDPが増えても、人口が同じだけ増えれば特に豊かになるわけではないので、1人当たりで見ていかなければなりません。

 そのためには、働く人が「1人当たり」の生産を増やすことが基本になります。これを「労働生産性」と言います。生産するのはGDP(付加価値)ですから、厳密に言えば、付加価値労働生産性です。この付加価値も、インフレで値段が上がって増えたのでは駄目ですからインフレ分を差し引いた「実質付加価値労働生産性」が最も大事な基本的な目標概念になります。

 人口全体の中で働いている人の割合は年々そんなに変わりませんから、実質付加価値労働生産性が上昇すれば、人口1人当たりの豊かさ、快適さの増進が可能になります。
 では「実質付加価値労働生産性」はいかにして上がっていくのでしょうか。

 まず技術革新がベースになります。蓄積した資本で、それを生産設備に取り入れて生産をより高度なものにしていくわけです。
 馬や牛は蒸気機関になり、ガソリンエンジンになり、電気モーターになり電子技術になり、自動化が行われるといったプロセスです。

 同時に、道路、港湾、発電所、送電線、上水道、下水道、鉄道、通信といった社会インフラも整備されなければなりません。生産現場では、QC活動やカイゼンが行われ、物流、ロジスティックス、労働力の効率配置など社会システムそのものの効率も追及されます。
 技術革新、その巧みな活用、大きく社会全体の効率的なあり方の実現などなど、これらはすべて人間の頭の中から生まれるものですから、此の全体を支えるのは「教育訓練」、「人材育成」、「human resource development」ということになります。

  これらの整備には、技術開発投資、生産設備投資、社会資本投資、教育投資などが必要で、そのためには資本蓄積が大事になります。そして、これらが揃えば、経済成長というのは、人間が願望を実現しようとする本能の結果として、必然的に起こって来るものと考えられます。
 これが順調に働かないのは、大抵、資本蓄積の不足、もう1つは、人間が誤った知識(争いを誘発する憎しみや、行き過ぎた享楽優先主義≒怠惰)を教え込まれ、誤った行動を取るからでしょう。