tnlabo’s blog   「付加価値」概念を基本に経済、経営、労働、環境等についての論評

人間が住む地球環境を、より豊かでより快適なものにするために付加価値をどう創りどう使うか。

実体経済 vs. 金融経済

2013年03月10日 10時55分50秒 | 経済
実体経済 vs. 金融経済
 中身自体(結果も)どうなるか未だ解らないアベノミックス、ギリシャ・イタリア問題に対するEUの対応、アメリカの景気が良くなってきたとアメリカの経常赤字の動向に関わらず喜ぶ金融重視派のエコノミストたち、それに対して、金融を緩めて対応するだけでは、問題はいつかは再燃すると警告する実体経済重視論者の声・・・・。

 このブログの基本テーマの1つもそうですが、今の経済学、経済政策は、大きく2つに分けられるようです。「実体経済こそが本当の経済」という考え方と経済問題は「金融で対応できる」とする考え方です。
 そして、今日の経済学、経済政策は、不況はすべて金融政策で解決できる、経済が行き詰まったら金融を緩めればいい、という金融中心論者が圧倒的に多いようです。
 この問題は、最後にアメリカがどこに行き着くかがはっきりするまで続くことでしょう。

 ただ、最近の動きを見ると、アメリカでも、オバマ大統領は、財政赤字の強制削減について、暫定的な先延ばしで何とか対応しようとしています。もともと強制削減は財政健全化(=アメリカ経済健全化)のために決めたものだから、外すより守ることの方が正しい対応という意識も持っているようにも見えます。

 こうした動きが、金融を緩めて辻褄をあわせることから、最終的には実体経済の健全化が必要という認識への回帰という意識の兆しなのかは解りませんが、金融・財政を緩めれば、経済活動か活発になって、成長率が高まり、いつかは赤字も消えていくだろうという根拠の無い楽観主義に、そろそろ反省の機運が訪れてもいいのかなと考えている実体経済論者も多少はいるはずです。

 些か割り切り過ぎの言い方かもしれませんが、解り易いために、はっきり言ってしまえば、日本のように経常黒字で円高に悩まされる経済には金融緩和政策が良く似合い、ギリシャ、イタリア、アメリカのような、経常赤字国には、金融緩和より実体経済重視政策が、本来はより似合うというべきなのではないでしょうか。

 しかし現実には、その反対で、赤字国は金融で対応しようとし、日本は日銀が伝統的な信念「インフレの番人」に忠実であり過ぎたこともあってか実体経済中心で来ていたようです。今回のアベノミクスの成功(当面)で、「やっぱり金融だということで、金融緩和論者が力を得たかもしれませんが、それは日本だからで、「ヨーロッパやアメリカは、本当は違うんだよ」と考えた方がいいと思います。

 いつでも金融政策が良いと考えていると、それは、金融万能という過信を生み、その結果は、マネー資本主義に通じ、ギャンブルとインチキの横行という鬼子を生でしまい、極端な不平等社会の温床にもなって来たという点は、これまでの経験から良く学んで、十分に注意するべきでしょう。