tnlabo’s blog   「付加価値」概念を基本に経済、経営、労働、環境等についての論評

人間が住む地球環境を、より豊かでより快適なものにするために付加価値をどう創りどう使うか。

付加価値で読む経済分析 (2 経済成長とは) 

2013年03月14日 13時18分07秒 | 経済
付加価値で読む経済分析 (2 経済成長とは) 
 経済成長をもっとも単純な図式で説明しようとすれば、こんなことになるのではないでしょうか。


 
 前回申し上げたように、GDPは人間と資本が協力して創るものです。これは解りやすい言い方で、もっときちんと言えば、「人間が資本を活用して創ります」、でしょう。あくまで人間が主人公です。

 ですから創られたGDPは人間と資本に分配されます。昔は資本家が恣意的に分けたかもしれませんが、今は「経営者」が企業のマネジメントをする立場で資本の代理人も兼ね、従業員あるいはその組織(代表的には労働組合)が労働の代理人として行動することになります。前回、付加価値は企業が創ると書きましたが、企業はその分配もやるのです。

 経営者という立場は微妙で、国民所得統計では、経営者もemployeeです。ただ法律的には資本家の代理人として、資本サイドへの分配に責任を持ちつつ、労使双方への合理的な分配(経営資源の最も効率的な活用)という組織マネジメントの役割を遂行します。
 マスコミは、解りやすいように、経営者は資本サイド、労働組合が労働サイドと単純に二元論で定義し「労使の交渉(闘争)で付加価値の分配を決める」とします。

 なぜ、このプロセスを経るとGDPが大きくなるかと言いますと、ここで最も大事なのは「技術革新」で、労使が協力して技術革新を付加価値の創造過程に導入するから、年々GDPが大きくなること(経済成長)が可能になるわけです。

 この技術革新もくるめて、ここで重要になるのが、労働と資本への分配に在り方、端的に言えば、労使への分配の比率で、この比率を労働の立場から見たのが「労働分配率」です。そして、労働分配率を研究の中心据えるのが労働経済学です。