tnlabo’s blog   「付加価値」概念を基本に経済、経営、労働、環境等についての論評

人間が住む地球環境を、より豊かでより快適なものにするために付加価値をどう創りどう使うか。

3本目の矢、日本経済のパフォーマンスを変える視点

2013年03月01日 16時08分28秒 | 経済
3本目の矢、日本経済のパフォーマンスを変える視点
 安倍政権の3本の矢のうち、1本目は、マネーマーケットの世界にそれなりの波紋を生じたことは事実でしょう。2本目の矢、財政出動は、今後次第に国内経済に効果を持ってくると思います。今回論じるのは、基本的には3本目の矢に関わる問題です。

 実は、このブログの意識では、この3本の矢は、最後まで絡み合っていて、3本目に矢がきちんと効果を持たなければ、1本目の矢の効果も消えるし、また3本目の矢が効果を持つには2本目の矢の助けが必要かもしれないといったものになっています。

 具体的に言えば、3本目の矢が正鵠を射なければ、また何年か後にアメリカかヨーロッパで何か経済問題が起これば、30円、40円幅の円高が起こり、日本経済はまた何年にも亘って、デフレに苦しむことになりかねません。

 また、国際投機資本がその時に今までのように円に逃避 (円買い)をしないためには、日本が万年黒字国で円は安全という一方的な目で見られないようになることが必要で、そのためには、矢張り財政の役割が欠かせないということになるかもしれないからです。

 つまり、現在、世界の主要国の中で万年黒字国は中国とドイツ、日本だけといったところですが、人民元は簡単には買えない、ドイツマルクはユーロになっている、ということで、さっと逃げられるのは円ということでしょう。

 3本目の矢は日本経済を再び成長経済に戻すのが目標ですが、日本自身の経験からも、また中国が頑強に人民元切り上げに抵抗する事からもお解りのように、行き過ぎた自国通貨高は、たちどころに、成長経済をデフレ経済に陥れることが明らかだからです。

 そうであるならば、国際投機資本が跳梁するマネー資本主義の中で、日本経済を安定した成長経済に戻すには、どのような体質改善をしなければならないか、3本目の矢は、そこを明確に目指さなければなりません。

 私自身は、今までの日本人の意識、能力、行動様式から見れば、円の評価が日本経済の実力に相応したものであれば、放っていても日本経済は健全な成長路線を誤りなく進んでいくと信じています。

 だからこそ、不用意に円高の陥穽に陥ちるのを避けることが、安定成長維持のための「必須要件」と考え、3本目の矢は、その視点を確りと織り込んだものでなければならないと考えているわけです。
 次回はその方法について考えてみましょう。