国債残高:資産か負債か 4
1970年代、桜田武さんが財政制度審議会会長を務め、財政再建が問題になって土光臨調で引き継いだころ(1~2次オイルショックの頃)言われていたわが国財政の基本的問題点というのは、
第一次オイルショックからの回復のためにやむを得ず赤字国債を出しましたが、一度出すと蛇口がなかなか閉まらない(官僚システムの悪弊)。だから行政改革をやり、財政の蛇口を締めて、また不況回復のために財政出動(ケインズ政策)が必要になった時 、さらには、将来の高齢化時代に今のうちに備えるべきだ、ということでした。
今よりずっと余裕のある時代、一億総中流と言われ、所得格差の小ささは世界でもノールウェイに次いで2番目などと言われていた時代に時代に、子孫のために借金を残すなと言っていたのです。当時わたくしもこの堅実さに大賛成でした。
家族に失業の恐怖もなく、皆正社員で、給料が毎年上がるのは当たり前と考えられ、頑張って働きさえすれば、必ず生活は良くなると確信される時代でした。
この家のお母さんも、初めは、借金しても、金が余って返せる年も来るから問題ないと思っていた時代でしょう。
しかし、最近状況が変わって、みんな給料が上がらなくなって、正規社員から非正規社員になった弟もいて、親の高齢化で医療費も増えて、お母さんも家族に追加借金の依頼をしながら、「こんなに毎年借金していたら、家族に借金をどうやって返すか」という心配が大きくなって、家計への拠出率を80パーセントから85パーセントに上げようという提案になったのです。
日本の財政の場合にはおまけがあります。余裕のある時期、政府は、特別会計も含めいろんな余裕金を湯水のように無駄遣いしました。象徴的なスパウザ小田原、中野駅前のサンプラザをはじめ、日本各地のグリーンピア、簡保の宿・・・、処分価格は取得価格の何百分の1、懲りずにインカムロスを繰り返す年金基金の運用、などなどです。
桜田さん、土光さんの心配は本物になりました。
それでもまだ、多少の余裕は残っています。日本国債は紙屑にはなりません。前述のように、復興国債は売れています。本当に大事なことは、国民と政府で、「紙くずにしない努力」をすることです。その限りで、国債は健全資産であり続けます。
そして、次の問題は、そのために何が必要かです。野田総理は、きちんと増税をすることが何にも増して重要だから、私は命をかけてやると言っています。例えている家のお母さんの心情と同じです。
これはまさに正論です。世の中がまともだったら、私ももろ手を挙げて賛成するでしょう。問題は今の世の中が「まとも」ではないという現実です。
1970年代、桜田武さんが財政制度審議会会長を務め、財政再建が問題になって土光臨調で引き継いだころ(1~2次オイルショックの頃)言われていたわが国財政の基本的問題点というのは、
第一次オイルショックからの回復のためにやむを得ず赤字国債を出しましたが、一度出すと蛇口がなかなか閉まらない(官僚システムの悪弊)。だから行政改革をやり、財政の蛇口を締めて、また不況回復のために財政出動(ケインズ政策)が必要になった時 、さらには、将来の高齢化時代に今のうちに備えるべきだ、ということでした。
今よりずっと余裕のある時代、一億総中流と言われ、所得格差の小ささは世界でもノールウェイに次いで2番目などと言われていた時代に時代に、子孫のために借金を残すなと言っていたのです。当時わたくしもこの堅実さに大賛成でした。
家族に失業の恐怖もなく、皆正社員で、給料が毎年上がるのは当たり前と考えられ、頑張って働きさえすれば、必ず生活は良くなると確信される時代でした。
この家のお母さんも、初めは、借金しても、金が余って返せる年も来るから問題ないと思っていた時代でしょう。
しかし、最近状況が変わって、みんな給料が上がらなくなって、正規社員から非正規社員になった弟もいて、親の高齢化で医療費も増えて、お母さんも家族に追加借金の依頼をしながら、「こんなに毎年借金していたら、家族に借金をどうやって返すか」という心配が大きくなって、家計への拠出率を80パーセントから85パーセントに上げようという提案になったのです。
日本の財政の場合にはおまけがあります。余裕のある時期、政府は、特別会計も含めいろんな余裕金を湯水のように無駄遣いしました。象徴的なスパウザ小田原、中野駅前のサンプラザをはじめ、日本各地のグリーンピア、簡保の宿・・・、処分価格は取得価格の何百分の1、懲りずにインカムロスを繰り返す年金基金の運用、などなどです。
桜田さん、土光さんの心配は本物になりました。
それでもまだ、多少の余裕は残っています。日本国債は紙屑にはなりません。前述のように、復興国債は売れています。本当に大事なことは、国民と政府で、「紙くずにしない努力」をすることです。その限りで、国債は健全資産であり続けます。
そして、次の問題は、そのために何が必要かです。野田総理は、きちんと増税をすることが何にも増して重要だから、私は命をかけてやると言っています。例えている家のお母さんの心情と同じです。
これはまさに正論です。世の中がまともだったら、私ももろ手を挙げて賛成するでしょう。問題は今の世の中が「まとも」ではないという現実です。