マネー資本主義克服に何が必要か
では、資本主義から生まれて、今やその健全な発展を脅かすマネー資本主義を克服するのには何が必要なのでしょうか。
賢明な読者の方は、とうにお気づきと思いますが、それは、実体経済とマネー経済という2つのパラレルワールドの、勝手に膨張するマネーの世界の方を、実体経済の中に戻すことです。
「何だ、貨幣数量説に戻るのか」と言われる方もあるかと思いますが、ある意味ではそうかもしれません。その場合、マーシャルは、通貨の量と流通速度を問題にしましたが、それに所得(おもに賃金で、実はこれが主役)を加えると良いでしょう。
貨幣流通量は、M2などで測りますが、賃金については、具体的には一人当り名目雇用者報酬の伸びを採用するのがいいでしょう。そしてその年々の伸びを一人当りの実質GDP の上昇(国民経済生産性の伸び)に合わせることになります。(この応用分野として、インフレ・ターゲット政策があります。)
理由は単純です。今日、先進国では、賃金(雇用者報酬)は国民所得の7割程度を占めており、殆ど全てのインフレは賃金コストプッシュインフレ です。生産性上昇を超える賃金上昇によるコスト上昇からインフレになるのですが、国際競争があるので通常スタグフレーションを引きおこし、競争力の喪失から国際経常収支の赤字をもたらします。
労使交渉の中で、物価上昇は賃金上昇に転嫁され、賃金抑制は困難で、事態の深刻化は進みます。
そこで2つの事が必要になります。1つは赤字のファイナンス、もう1つは、景気対策としての財政金融政策です。しかしこれは単なる鎮痛剤で、症状は和らげますが、病気は治りません。
痛みを和らげた分、インフレ(スタグフレーション)と双子の赤字(財政赤字と経常赤字)が進行します。
そして前回書きましたように、健全な経済運営をしている国に、為替レートの切り上げを迫り、金融工学で資金を還流させ、出来れば借金の棒引き部分を増やそうという戦略になります(これを考える人が『金融ストラテジスト』でしょうか)。
賃金上昇が、生産性の上昇に整合的であれば、こうしたことはすべて不要になります。
では、資本主義から生まれて、今やその健全な発展を脅かすマネー資本主義を克服するのには何が必要なのでしょうか。
賢明な読者の方は、とうにお気づきと思いますが、それは、実体経済とマネー経済という2つのパラレルワールドの、勝手に膨張するマネーの世界の方を、実体経済の中に戻すことです。
「何だ、貨幣数量説に戻るのか」と言われる方もあるかと思いますが、ある意味ではそうかもしれません。その場合、マーシャルは、通貨の量と流通速度を問題にしましたが、それに所得(おもに賃金で、実はこれが主役)を加えると良いでしょう。
貨幣流通量は、M2などで測りますが、賃金については、具体的には一人当り名目雇用者報酬の伸びを採用するのがいいでしょう。そしてその年々の伸びを一人当りの実質GDP の上昇(国民経済生産性の伸び)に合わせることになります。(この応用分野として、インフレ・ターゲット政策があります。)
理由は単純です。今日、先進国では、賃金(雇用者報酬)は国民所得の7割程度を占めており、殆ど全てのインフレは賃金コストプッシュインフレ です。生産性上昇を超える賃金上昇によるコスト上昇からインフレになるのですが、国際競争があるので通常スタグフレーションを引きおこし、競争力の喪失から国際経常収支の赤字をもたらします。
労使交渉の中で、物価上昇は賃金上昇に転嫁され、賃金抑制は困難で、事態の深刻化は進みます。
そこで2つの事が必要になります。1つは赤字のファイナンス、もう1つは、景気対策としての財政金融政策です。しかしこれは単なる鎮痛剤で、症状は和らげますが、病気は治りません。
痛みを和らげた分、インフレ(スタグフレーション)と双子の赤字(財政赤字と経常赤字)が進行します。
そして前回書きましたように、健全な経済運営をしている国に、為替レートの切り上げを迫り、金融工学で資金を還流させ、出来れば借金の棒引き部分を増やそうという戦略になります(これを考える人が『金融ストラテジスト』でしょうか)。
賃金上昇が、生産性の上昇に整合的であれば、こうしたことはすべて不要になります。