tnlabo’s blog   「付加価値」概念を基本に経済、経営、労働、環境等についての論評

人間が住む地球環境を、より豊かでより快適なものにするために付加価値をどう創りどう使うか。

格付け会社は経済社会の混乱要因

2012年01月15日 14時58分32秒 | 経済
格付け会社は経済社会の混乱要因
 格付け会社のS&Pがフランスをはじめユーロ加盟9か国の国債の格付けを1~2ランク下げるということになって、それでまたユーロ経済が揺れているということです。
 国債が負債か資産かという問題については、もう少し書こうと思いますが、格付け会社の存在と行動のあまりの杜撰さに、今回はこの問題を取り上げてしまいました。

 FSBは格付け会社も監督するといっていますし、このところ(もともと?)格付け会社の行動様式が、本来目指したであろうものと、とんでもなく乖離してしまっているように感じるのはわたくしだけではないと思います。

 格付け会社は、国債の格付けもしますが、企業の格付けもします。誰もが期待するのは、「さすがによく見ているな、よく見て、よく考えれば、その通りだ」とみんなが納得するような分析力や先見性を持って、国でも企業でも、その将来に影響するようなプラス、マイナスの重要な点を早期に指摘し、国や企業、経済社会がより安定的に発展するような方向に導く役割を担うのが格付け会社でしょう。

 ところが今やっていることは何でしょう、ギリシャの粉飾決算を見破れないばかりか、それをきっかけにしてユーロが揺れているさなかに、誰がみてもおかしいフランスのAAAランクを突如下げ、他の8か国も、決して状況は同じでないのにまとめて下げて見せたわけです。
 おかげで、またユーロ圏は大揺れ、世界経済は当然悪い影響を受けるでしょう。

 格付け会社は当然国際投機資本がどうするかということは知っています。彼らが、格付け会社の行動で、いかに儲けを狙っているかも知り尽くしているでしょう。

 御承知のように、フランスは2005年以降ずっと経常赤字、そのGDP比はじりじり増えています。つまり毎年外国から借金しないとやれない国です。一方ドイツは日本と同じで万年黒字、ユーロ圏全体では、ほとんどドイツ(ちょっぴりオランダ)のお蔭で、ギリシャを始め、イタリヤやフランスまで赤字を出しても、経常黒字を維持しています。

 それなのに、格付け会社はずっとドイツもフランスも同じAAAにして放っておいていました。そして今、この混乱の中で、思い出したように、赤字国の国債のランクを引き下げ始めたのです。

 ま、アメリカは1960年代後半からずっと経常赤字で、それでもついこの間までAAAでしたから、「まあ、そんなもんか」と言えばそうなのかもしれませんが、せっかく世間から認められて、本来、サー-ビス料をとってサービス業を営んでいるのです。勝手格付けは勝手でいいとはならないでしょう。矢張りまじめに努力するべきではないでしょうか。

  例えば、もっと早期に、几帳面に、経常赤字国が早くお行儀を正すよううるさく言っていれば、アメリカがサブプライムローン問題や、リーマンショックで、世界経済を大混乱に落とし込んだり、折角ヨーロッパの安定を目指してできたユーロが、その運営の失敗から今回のような混乱を引き起こしてしまったりすることを未然に防止する役に立てたかもしれない、ぐらいの使命感を持って、世界経済社会に貢献して欲しいものです。