tnlabo’s blog   「付加価値」概念を基本に経済、経営、労働、環境等についての論評

人間が住む地球環境を、より豊かでより快適なものにするために付加価値をどう創りどう使うか。

24年度の政府経済見通しを見る

2012年01月07日 15時27分50秒 | 経済
24年度の政府経済見通しを見る
 昨年末に、来年度の経済見通しの閣議了解版が出ました。閣議決定版は今月末になるのでしょうが、多分数字は同じで、分配国民所得が追加になるぐらいでしょうから「了解版」で見て置きたいと思います。

 まず、政府見通しは相変わらずのデフレ基調の経済です。デフレ脱却はできないとみています。名目成長率は2.0パーセントで、実質成長率は2.2パーセントです。GDPデフレータがマイナス0.2で消費者物価指数はプラス0.1ですから、国内はデフレ、多少の海外(輸入)インフレを見ていることになります。

 2.2パーセントの実質成長のうち内需の寄与度が1.8、外需寄与度が0.4で、内需寄与度を民需と官公需に分けると民1.6、官0.4、ただし消費支出は前年度比1.1パーセントしか増えず、民間住宅建設と企業設備投資がそれぞれ6パーセン台ト、5パーセント台の増加となっています。

 雇用者数は0.8パーセントの増加ですから、賃金上昇はほとんどなく、デフレ基調の中で国民は財布のひもを締めて暮らすという従来と基本的には変わらないパターンの経済の形のようです。政府は消費振興など余り考えていないようです

 民間住宅建設が増えるのは、大震災からの復興もあるのでしょうか、企業の設備投資も復興投資でしょうか、企業の海外進出が増えていますから、問題はこれが、海外で付加価値を生むのか、国内で付加価値を生むのかです。

 そのあたりを占うのが、円の行方ですが、政府の説明では23年度の平均が$1=¥78.5、24年度の平均が$1=¥77.5となっています。
 ということであれば、来年度中は平均しても今よりは円安ということになり、日本企業は安心できるのですが、油断はできません。

 理由は、経常収支の欄を見ると、23年度の9.9兆円から24年度は12.2兆円に増加しており、これだけ復興のために余計な金を使っても経常黒字は増加基調をとるということです。またこの金は外国(米国?)に貸すのでしょうか。

 円は益々健全通貨になり 、円高の可能性は高くなります。日本人が真面目な経済運営をするだけ円高で苦労するのは解り切っています。

 ここでも政府日銀が言った$1=¥75は「生命線」と言った言葉が試されることになるわけで、アメリカやEUで何か金融問題があったと言っては円高がさらに進むようなことになります。、政府は、「何を変えようとしているのでしょうか