tnlabo’s blog   「付加価値」概念を基本に経済、経営、労働、環境等についての論評

人間が住む地球環境を、より豊かでより快適なものにするために付加価値をどう創りどう使うか。

マネー資本主義と日本

2012年01月20日 11時38分56秒 | 経済
マネー資本主義と日本
 野田総理の消費税増税への姿勢は本物のようです。
 この所の民主党は、消費税も普天間も、八ッ場ダムも高速道路料金も原発も新幹線建設も、次第に自民党と同じになるようです。日本の政権政党はこの路線でないと困ると決まっているのでしょうか。決めるのは我々だと思うのですが、我々の知らない間にみんな変わってしまいました。

 ところで前回、世の中がまともであれば、財政健全化大賛成と書きました。私も日本人の一人です。もともと真面目なつもりですし、このブログを見て頂いても、専門は企業経営で、経済・経営は健全が最善 と考えていることはお分かり頂けると思います。

 しかし残念ながら、その真面目さが、今日、世界では通用しなくなっている、という現実を、度重なる経験的事実から痛感しているというのも本当です。
 それは資本主義の原理原則が、実体経済中心からマネー中心にシフトして来てしまっているということによります。

 人間は本来、実体経済の中の生き物です。マネーは食べられません。しかし食料品はマネーで買えます。
 これを徹底していくと、「金さえ稼げばいい」となり、次第に、豊かになるためには「生産性をあげても」「投機で金を稼いでも」同じだということになります。
 これを応用すれば、国際競争力を持つためには、「自国の生産性を上げてもいいし」「相手国の通貨価値を上げて(例えば円高)コスト高にしてもいい」、どちらも結果は同じ、となります。
 
 この通貨価値の方は、一寸解りにくくて、「円が高くなることは、日本経済の価値が上がることだ」とか「円が強くなれば、外国の物が安く買えていいじゃないかとかいう経済学者も結構多いので、そういう方々への説明のために。私はゴルフのハンディー の例えを使ってきました。

 そして今のマネー資本主義の流行の中、欧米先進国の巨大金融機関が一国経済や世界の大企業の経営にまで大きな影響を与えうるようなマネー市場肥大化の下で、日本やアジア諸国の実体経済中心の経済認識、経済行動が、マネー資本主義の荒波に翻弄されています。
 はっきり言ってしまえば、「勤勉に働くこと、生産性向上努力」で得たカネも、「投機で儲けたカネ」も同じカネだとして、付加価値 創造の価値を最小に貶めつつある、という現実に遭遇しているのです。

 世界でも「ものづくりのリーダー」をもって任じてきた日本がこの問題に確りと目を向ける必要があると考えるからこそ、単に『財政健全化を真面目にやりさえすれば』それに命を掛ければ、それだけで一国をリードできるのかと、敢て言わなければと考えるのです。