日本経済低迷の実態をGDP統計で見る
昨日のブログで、この10年来日本政府の経済政策は、全く見当違いの事を続けて来たのではないかと書きました。
そのあたりをGDPの構成の推移から見てみようとしたのが今日の試みです。
昨日は、実質GDPの構成の日米比較をして、アメリカ経済の元気の源は国民の消費需要の旺盛な所にあるのではないかと指摘しましたがそれはその通りだと思います。
日本でも政治家も経済学者も評論家も殆どに人たちが、日本経済の不振の原因は個人消費の不振にあると指摘し、消費需要の喚起が重要と言っています。
そして不振の原因は、将来不安、老後不安で貯蓄に走り、消費は節約の対象になっている事や格差社会化が進んで、貧困世帯が増え、中間層が薄くなって来てしまっていること、更にはコロナ禍で巣篭り生活になったことまで挙げられて来ている事は 皆様ご承知です。
政府もそれに手を打とうと、国民の貯蓄が増えているのを担保に、赤字国債を大量に発行して補助金、給付金のバラマキを重ね、それで何とか消費需要を支えて、経済活動の活発化につなげようとしています。
また企業の業績が良いこと、株価が上がって来ている事を背景に、貯蓄から投資へと庶民のカネを誘導し、企業も得、庶民も得と言っています。
しかし、そうした動きでは、どうも経済は活性化しないという事がこの10年来のGDPの実績から見えて来ている事には気付いていないようです。
下の図を見て頂きますと、そうした問題点が見えてくるように思われるのです。
過去10年間の実質GDP 構成の推移
資料:総務省「国民経済計算」
2011年度はリーマンショック後の日本経済の最悪期でした。そこから出発して2012年度には日銀の白川総裁が1%インフレ目標で少し円安に、13年度、14年度と黒田総裁のゼロ金利政策進み、円レートが80円から120円と正常化が達成されました。
国際競争力は回復、企業利益は急速に復活です。賃金も上昇を始め経済が回り出します。この期間には政府支出の赤い線は下降気味、民間消費(青)と設備投資(緑)が上向きです。多くの人は、これで景気回復と期待しました。
ところが、その後がおかしくなっています。民間の経済活動が元気になり、財政の梃子入れは後退するはずが、どうでしょう、設備投資の緑の線は順調に伸びていますが、民間消費の青い線は一貫して下降気味です。
結果、財政テコ入れは相変わらず続き、日本経済は消費不振で設備投資の片肺飛行、財政の役割は減らない形で20年度コロナ禍による「消費沈滞、投資も減少、財政出動」という最悪の状態になっています。
ここで問題は、なぜ民間消費が伸びなかったかです。このブログとして、1つの答えを出しておきましょう。
多分それは、政府が全てを取り仕切らなくてはならないと考えるようになり。その権力と能力を過信するようになったことにあるようです。
典型的な例を挙げれば、「働き方改革」然り、「成長と分配の好循環」然り。これらは民間の現場の創意工夫から生まれるものです。
政府の指示で出来るものではありません。もともと、政府はノーハウの開発もその実行もできないのです。
政府が手を出せば出すほど、民間労使はやりにくくなり、やる気をなくし、そこまでうるさいのならやらせておけという事になり、「神の見えざる手」の反対の「政府の見える手」がはびこって、経済効率は悪化するばかりなのです。
「来春闘は労使にお任せします」と言えば、労使は「貧困家庭の増加は、我々の責任だ」と考えることになるでしょう。
「何でも決める、何でも出来る」は独裁政権の特徴です。独裁政権は今、世界に害をなしています。日本の政府は十分気を付けてください。
昨日のブログで、この10年来日本政府の経済政策は、全く見当違いの事を続けて来たのではないかと書きました。
そのあたりをGDPの構成の推移から見てみようとしたのが今日の試みです。
昨日は、実質GDPの構成の日米比較をして、アメリカ経済の元気の源は国民の消費需要の旺盛な所にあるのではないかと指摘しましたがそれはその通りだと思います。
日本でも政治家も経済学者も評論家も殆どに人たちが、日本経済の不振の原因は個人消費の不振にあると指摘し、消費需要の喚起が重要と言っています。
そして不振の原因は、将来不安、老後不安で貯蓄に走り、消費は節約の対象になっている事や格差社会化が進んで、貧困世帯が増え、中間層が薄くなって来てしまっていること、更にはコロナ禍で巣篭り生活になったことまで挙げられて来ている事は 皆様ご承知です。
政府もそれに手を打とうと、国民の貯蓄が増えているのを担保に、赤字国債を大量に発行して補助金、給付金のバラマキを重ね、それで何とか消費需要を支えて、経済活動の活発化につなげようとしています。
また企業の業績が良いこと、株価が上がって来ている事を背景に、貯蓄から投資へと庶民のカネを誘導し、企業も得、庶民も得と言っています。
しかし、そうした動きでは、どうも経済は活性化しないという事がこの10年来のGDPの実績から見えて来ている事には気付いていないようです。
下の図を見て頂きますと、そうした問題点が見えてくるように思われるのです。
過去10年間の実質GDP 構成の推移
資料:総務省「国民経済計算」
2011年度はリーマンショック後の日本経済の最悪期でした。そこから出発して2012年度には日銀の白川総裁が1%インフレ目標で少し円安に、13年度、14年度と黒田総裁のゼロ金利政策進み、円レートが80円から120円と正常化が達成されました。
国際競争力は回復、企業利益は急速に復活です。賃金も上昇を始め経済が回り出します。この期間には政府支出の赤い線は下降気味、民間消費(青)と設備投資(緑)が上向きです。多くの人は、これで景気回復と期待しました。
ところが、その後がおかしくなっています。民間の経済活動が元気になり、財政の梃子入れは後退するはずが、どうでしょう、設備投資の緑の線は順調に伸びていますが、民間消費の青い線は一貫して下降気味です。
結果、財政テコ入れは相変わらず続き、日本経済は消費不振で設備投資の片肺飛行、財政の役割は減らない形で20年度コロナ禍による「消費沈滞、投資も減少、財政出動」という最悪の状態になっています。
ここで問題は、なぜ民間消費が伸びなかったかです。このブログとして、1つの答えを出しておきましょう。
多分それは、政府が全てを取り仕切らなくてはならないと考えるようになり。その権力と能力を過信するようになったことにあるようです。
典型的な例を挙げれば、「働き方改革」然り、「成長と分配の好循環」然り。これらは民間の現場の創意工夫から生まれるものです。
政府の指示で出来るものではありません。もともと、政府はノーハウの開発もその実行もできないのです。
政府が手を出せば出すほど、民間労使はやりにくくなり、やる気をなくし、そこまでうるさいのならやらせておけという事になり、「神の見えざる手」の反対の「政府の見える手」がはびこって、経済効率は悪化するばかりなのです。
「来春闘は労使にお任せします」と言えば、労使は「貧困家庭の増加は、我々の責任だ」と考えることになるでしょう。
「何でも決める、何でも出来る」は独裁政権の特徴です。独裁政権は今、世界に害をなしています。日本の政府は十分気を付けてください。