再登場して3カ月、世界中がトランプさんに振り回されています。
アメリカの過半数の人が「この人を」と選んだ大統領ですが、トランプさんの発想の原点が「アメリカは損ばかりしている」という認識ですから、アメリカ「アメリカの富と栄光」を取り戻してくれえると期待したのでしょう。
しかし、世界経済がゼロサム状態の中で、アメリカが得すれば、世界の国々は損をすることになります。
それでもアメリカ国民だけでなく、世界もトランプさんに何かを期待したとすれば、それは「戦争をやめさせる」という発言への関心の高さがあったからでしょう。
そこで、前回のトランプさんの四年間で思い出すのは、国際的には、TPP離脱、金正恩との握手、イラン核協議離脱などですが、いずれも単に問題が先に残っただけのように思います。
国内ではアメリカの分断が進み、貧富の差が歴然となり、アメリか社会は不安定になったようで、それは今に至るも続いています。
結局、問題は何の進展もなく、こじれたものは却って悪化し、総てはやりっ放しだったように思います。
トランプさんは、それはバイデン大統領のせいだと言って今回再当選を果たし、バイデンさんには酷い言葉を浴びせています。
前回はそのような事ですが、今回は、新戦略「トランプ流関税論」でアメリカ経済は直ぐに良くなる、USスチールも忽ち復活すると語り、国際的にはウクライナもパレスチナも、戦争はすぐ終わるといい、それにおまけがついて、カナダはアメリカの州になれ、グリーンランドはアメリカが面倒を見ると言い出して、何か大きなことをやってくれるという期待感を持たせました。
そして今、就任3か月、これまでの実績を見ますとウクライナとはギクシャク、プーチン懐柔は全く効果なし、東部4州割譲の腹案があったのかどうか解りませんが、ウクライナは納得しませんし、それは国連憲章違反です。
パレスチナ問題は、地中海のリゾートをアメリカが創るという空想か現実か解らないものがありましたが、現実は破壊と殺戮に戻ってしまっています。
そして、「偉大なるアメリカの復活」を目指す、最大の問題は、相互関税を活用すれば、アメリカ経済は魔法のように復活するという幻想が現実になるかどうかの正念場を迎えています。
大鉈を振り上げてまず脅し、トランプ流ディールを駆使して少し喜ばせ、株が上がると予言し、世界の国々がアメリカに富をもたらすようにするというのでしょうか。
大統領就任演説の時から、「関税」という武器をトランプさんは誤解していたように思われます。
「関税は自国民が払う」もので、それに耐えて相手の譲歩を勝ち取るという事でしょう。iphoneの値段が上がるからと半導体の関税を外すのでは、さて後はどうするのでしょうか。
こうしたことは、アメリカには専門家がいくらでもいて、すぐ解る事ですが、なぜか朝令暮改が繰り返されます。それもディールだという意見もありますが、判断は結果が出てからの話でしょう。
これでアメリカの繁栄と栄光は取り戻せるとは思えませんが、これからもしっかり見ていきたいと思っています。