今日は4月1日、エイプリル・フールです。マスコミによれば、今日から値上げされる日用品などの品目が何千点かあるそうで、これは本当のようです。
家内が「トイレットペーパーが値上げのようですから、少し買っておきますか」といいますので「買いだめは、しない方がいいようですよ」などと言いながら、思い出したのは1973年秋の石油危機です。
あのときは石油が来なくなりそうだという事で洗剤とトイレペーパーのパニックが起きて日本中大騒ぎでした。
早速、洗剤についてもネットで見ましたら台所やトイレタリーの洗剤類も値上げするようでした。
現象は同じでも、原因は大分違いますから、石油危機の時のような事はないでしょうが、昨年になって安定してきた物価、それを契機に日銀も金融政策の正常化を進めようと動き始めたところです。さて、どういう事になるのかと心配です。
今回のインフレは2022年から23年にかけて起きた生活必需品の波状的一斉値上げの繰り返しのような感じです。
2020年から21年にかけてコロナ禍による巣ごもり状態の中で消費は減り、消費者物価はずっと下がり気味でした。
この現象は特に生活必需品で著しく、消費縮小と、価格低下で関連企業は大変だったようです.
2022年に入りコロナ明けが見え、消費回復とともに生活必需品部門では、輸入原材料価格や人件費コストの上昇による収益低下を取り戻そうとしました。それが2022年~23年の消費者物価上昇の波でしょう。23年秋辺りで、この値上げは一巡、23年夏にほぼ終わったようです。
日銀はそこで金利引き上げに動きました。その動きを少し早めようというとき新たな問題が起きたようです。
それは2024年から春闘が活発化したこと、加えて円安が進んだことで輸入コストの上昇が顕著になったことです。
政府は補助金などの手を打ちましたが、期限が来れば効果は消えます。さらに中小企業支援、下請け価格の見直しで原材料、人件費のコスト上昇の価格転嫁を進める政策が進められ、今度は長期不況で生じた種々の歪み是正の動きが出て来たようです。
結果的に、消費者物価は再度上昇に転じることになりました。名目賃金は上がっても、実質賃金の低下が続く状態があまり改善しないのです。
最大の原因は、実質経済成長が、相変わらずゼロ近傍で、賃上げで消費需要を活発化し、消費主導の経済成長をという政府の思惑は挫折の間です。
こんな中でさらに賃上げをしいくと、「ゼロサム経済の中の分配問題」、経済成長の無い中で賃金インフレということになり、日銀が考えていた、物価が安定したら(インフレ目標2%)、金利正常化というのではなく、ゼロ成長の中で賃金インフレ防止のために金利をどうするかという予想外の事態になりそうです。
その上に、問題が重なりました。
米価が2倍になったのです。農水省も政府も殆んど放置です。農業は大事ですが、生産性の上がらないコメ作りを続けながら、価格の引き上げで対応するというのは、ゼロ成長の中で賃上げや価格転嫁を奨励するのと同じで、経済合理性を見出しようのない経済政策という事になりそうです。
特に米価の値上げを容認したことは、今後、種々の物価上昇を誘発する危険が大きいでしょう。こんな事では、これからの物価と経済の関係が心配です。