司法書士内藤卓のLEAGALBLOG

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「株式交換と減資・減準備金」

2024-09-09 12:19:42 | 会社法(改正商法等)
 旬刊商事法務2024年9月5日号に,実務問答会社法第88回として,邉英基「株式交換と減資・減準備金」が掲載されている。

1 任意の債権者保護手続と資本金および資本準備金の増加額
【要旨】株式交換においては,株主資本等変動額が零未満でない場合において,会社法第799条の規定による債権者異議手続をとっていないときは,資本金及び資本準備金の増加額を0円とすることはできない。任意の債権者異議手続を実施したとしても同じである。
※ 吸収合併のように,株主資本等変動額の全部又は一部を「その他資本剰余金」に振り分けることはできない,の意である。

cf. 平成21年10月2日付け「株式交換における会計処理」

2 株式交換と同時に行う準備金の額の減少
【要旨】株式交換においては全額資本準備金が増額するものとした上で,取締役会の決議によって,株式交換の効力発生を条件として当該増額する分の準備金について当該効力発生と同時に減少させることができる。

① 株式交換による株式の発行について会社法第448条第3項は適用されるものと解され,取締役会の決議によって資本準備金の減少の決議をすることが可能である。

② 実務上,資本準備金の額の減少決議をすべき時において,あらかじめその金額を正確に把握することができないことがあることから,「減少の内容」としての「減少する準備金の額」をどのように定めるかが問題となるが,株式交換による準備金の増加額の全てを減少するという形での定め方であっても,会社法第448条第1項第1号の「減少する準備金の額」としての決定としては許容されるものと解すべきである。
(要旨おわり)

 実務上,①については,当たり前のように取締役会の決議によって行われている。また,②についても,既にこのような決定方法が散見されるようである。スケジュール的に余裕があるのであれば,株式交換の効力発生後に資本準備金の額の減少の手続をとるのが手堅いと思うが,上記のような考え方が示されると,実務は一斉に同時の効力発生に流れるのであろう。
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