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司法書士内藤卓のLEAGALBLOG

会社法及び商業登記に関する話題を中心に,消費者問題,司法書士,京都に関する話題等々を取り上げています。

先例から学ぶが、先例に束縛されすぎずに、法的な意味での合理性を追及すること

2008-10-27 18:08:26 | 会社法(改正商法等)
 「法曹3者が法律系のほかの資格と異なるのは、先例を踏まえつつ新しい問題について創造的に答えを出すと期待されている点だと思います・・・『先例から学ぶが、先例に束縛されすぎずに、法的な意味での合理性(多面的な視野を持った正義)を追及する』ことを胸に置いていただけると嬉しいです。」(「おおすぎBlog」より)
http://blog.livedoor.jp/leonhardt/archives/50620346.html

 前半の「先例を踏まえつつ新しい問題について創造的に答えを出すと期待されている」のは、「法律系のほかの資格」も異ならないので、いただけない(もっとも、十分にその役割を果たしているかと問われれば、苦笑せざるを得ないが。)が、後半の「先例から学ぶが、先例に束縛されすぎずに、法的な意味での合理性(多面的な視野を持った正義)を追及する」は、含蓄のある言。

 会社法においても、先例に囚われないユーザーフレンドリーな解釈はありがたいのは事実であるが、法的な意味での合理性(多面的な視野を持った正義)を追及する姿勢は大事にすべきである。
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特例有限会社の定款変更と監査役 (補助者ハットリ)
2008-10-27 18:19:35
 内藤先生、毎日拝見し、勉強させていただいております。
 さて、標記の件について質問させてください。
 監査役を置いている特例有限会社が定款を変更して監査役を置く旨の定めを廃止した場合、整備法18条により会社法336条が特例有限会社には不適用とされていることから、監査役は任期満了せず、したがって退任の登記はできない(監査役から別途辞任届を提出してもらうしかない)、と考えるべきでしょうか。
 これについて「会社法であそぼ。」では、2006年10月12日の(質問コーナー)の「Q3」で、「登記原因を何とするかはともかく、退任する」と回答されています。
 先生は、どのようにお考えになりますでしょうか。
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雑感 (SRVX)
2008-10-28 16:58:59
「先例を踏まえつつ新しい問題について創造的に答えを出すと期待されている」と言うのは、具体的な紛争について法を創造的に解釈し、その創造された法の解釈が判例等として社会に対し事実上の拘束力をもつという意味における、いわゆる司法の「法創造機能」のことだと解釈します。

これは第一には裁判所が持つ機能ですが、裁判に携わる弁護士、検察、そして、本人訴訟を行う当事者もこれに関わります。

そして、「本人訴訟を行う(多数決を背景としない)一市民が法解釈の創造に関わることができる」という司法関与のチャンネルが用意されていることが、多数決原理を補完し立憲民主主義を仕組みのうえで支えていると考えます。

簡易裁判所においては司法書士にもそのような法解釈創造関与機能があるのかもしれません。

しかし簡裁では、創造的な法解釈を行うことよりも、日々発生する社会的ロスである紛争を迅速に解決するという機能が重視されます。
これに関わる司法書士は法創造機能に関わるよりも、迅速な紛争解決に資することが期待されているのではないでしょうか?

他方で地裁等での本人訴訟に対する書面作成は、多数決を背景にしない一市民の創造的法解釈への直接の関与を助け、もって立憲民主主義を確かならしめる機能があると思います。

例えば、市民は、複数の司法書士に書面を作らせ、それを選択して提出することさえできます。
これにより市民は、法(特に手続法)の学習なしに、訴訟において主体的に行動し、法解釈創造に関与できるのです。

私は、おおすぎ先生のコメントにも内藤先生のコメントにも特に異論はありませんが、上記のような解釈を前提にしています。
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ご回答 (内藤卓)
2008-10-29 10:36:27
 大杉先生も必ずしも「具体的な紛争」を前提としてはおられないと思います。実務の世界では、条文及び判例が最大限尊重されていますが、そのような「絶対解」が存しない新しい問題が日々生じており、解のないところに「最適解(らしきもの)」を見出して、安定した実務を形成させていかなければなりません。頼りの一となるのは、類似の問題に関する先例ですが、当該先例が作出された当時とは事情がまったく異なるため、新しい問題に対してそのまま適合するわけもありません。このような場合に、「最適解(らしきもの)」を見出していく作業は、正に創造的な作業であり、そのような最適解の積み重ねがstandard(現在の実務)を形成しているのです。その過程で紛争が生じれば、法廷に持ち込まれることもあるでしょうが、本来非日常の話です。できあがったstandardに基づき、当たり前のように行われている実務も、こうした創造的な作業の積み重ねの成果なのです。傍目には既に生じた結果のみを登記するだけに見える登記実務も、創造的な作業の積み重ねなのです。
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返礼 (SRVX)
2008-10-29 14:34:04
実務における慣習もまた法元ではあり、「最適解(らしきもの)」探しての「慣習」「取扱い」等の創造は有り得る事です。
(特例方式稼動などに伴うゴタゴタ等を想起します)

ただ、大杉先生は「【法曹3者】が法律系のほかの資格と異なるのは、先例を踏まえつつ新しい問題について創造的に【答えを出す】と期待されている」とコメントされております。この【答え】が【法曹】の出す「終局的」なものを意味するのであるなら、この【答えを出す】ことは、登記行政等についてのことを意味するのではなく、「具体的な紛争」を前提とする司法権の「法創造機能」についてのことであろうと考えます。

私は司法書士として、市民の主体性を尊重し、これを支える職能として、「法創造機能」にも関与し、立憲民主主義に多少なりとも貢献できるであろうことに誇りを感じています。

当の大杉先生がどこまでの意ををもち司法試験受験生と思われる投稿者への当該文章を公開されたのかは推察するしかありませんが、内藤先生とのやり取りで、己の司法書士としての考えを再確認する機会を得ましたので返礼とさせていただきます。

近く行われますブロック研修での先生のご講演を楽しみにしております。
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