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司法書士内藤卓のLEAGALBLOG

会社法及び商業登記に関する話題を中心に,消費者問題,司法書士,京都に関する話題等々を取り上げています。

子会社の取締役会及び監査役会の廃止による意思決定の一元化

2010-09-26 16:12:52 | 会社法(改正商法等)
 JVC・ケンウッド・ホールディングス株式会社は,子会社である事業会社(日本ビクター,ケンウッド,J&Kカーエレクトロニクス)の取締役会及び監査役会を廃止し,意思決定の一元化を図るそうだ。
http://www.jk-holdings.com/press/2010/09/press_100924.pdf

 日本ビクターとケンウッドの経営統合(株式移転による持株会社の設立)後も,両社の独立性を重視し,事業会社が決議した案件を持株会社においても決定する二重構造が続いていたが,意思決定の手続に時間がかかるため,事業会社の案件についてはすべて持株会社が決定する体制に改めるという。具体的には,各事業会社における重要案件の意思決定については,各事業会社の株主総会又は持株会社の取締役会若しくは執行役員会で行われることになる。

 取締役会設置会社以外の株式会社における業務の決定は,原則として,取締役の過半数の決定(会社法第348条第2項)又は株主総会の決議(会社法第295条第1項)により行われるから,「すべて持株会社が決定する体制」にするには,次のとおりにする必要があると思われる。

① 会社法第348条第3項各号に掲げる事項(3号を除く。)についての決定は,各事業会社の株主総会が行う。
② 会社法第348条第3項各号に掲げる事項以外の事項についての決定は,定款の別段の定めによって,各事業会社の社長である取締役が行う。ただし,各事業会社の社長である取締役は,持株会社の取締役会又は執行役員会により行われる決定に従う。

 なお,本件に関する日経記事の次の解説は,ちょっと・・・。


取締役会非設置会社
 新会社法により株式を公開しない非公開会社がとれるようになった会社形態。従来の有限会社にあたる。株主総会の賛意を得て定款を変更すれば採用できる。必ずしも代表取締役を選ぶ必要がなく、各取締役はそれぞれ業務の執行にあたる。取締役の責任範囲は取締役設置会社(※ママ)と変わらない。
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5 コメント

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取締役会非設置会社 (はぐれ司法書士)
2010-09-26 22:17:09
記事とはあまり関係がないのですが、質問させてください。

取締役会非設置会社において、代表取締役A(株主総会により選定)、取締役Bおよび同Cがいます。
Aが死亡した場合、新代表者を選定するための臨時株主総会招集をBとCの合議により決定し、BまたはCの名において招集通知を発することはできますか?

会社法296条3項ならびに348条1項および同2項によると、取締役会非設置会社における取締役は原則として株主総会の招集権限を有すると思われますが、このことは代表取締役が選定された場合でも変わりないか、というのが質問の趣旨です。
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ご回答 (内藤卓)
2010-09-26 23:20:23
 株主総会を招集することは,取締役の「業務の執行」ではなく,「職務の執行」にあたります。したがって,取締役会設置会社であると否とを問わず,また業務執行権を有する取締役であると否とを問わず,取締役は,招集権限を有します。いわゆる平取締役であっても,また社外取締役であっても,原則として招集権限があるわけです。ただし,定款に招集権限に関する定めがあれば,その規定に従うことになります。

 B又はCの名において招集通知を発することが,定款の招集権限に関する定めに抵触する場合には,招集手続に瑕疵があることになりますから,形式的には総会決議の取消事由に該当しますが,問題となることはまずないでしょう。
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業務執行と職務執行 (はぐれ司法書士)
2010-09-26 23:51:52
なるほど、両者は別物、と・・・。恥ずかしながら、その視点はありませんでした。
丁寧にお答えいただき、ありがとうございました。
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Unknown (Unknown)
2010-09-27 12:45:22
相澤判事らの「論点解説・千問の道標」では「株主総会の招集は業務の執行に当たらない」とあるのに対して,江頭先生・前田先生は「業務の執行として代表取締役・代表執行役が招集する」と考えられているようです。

実務では,やはり立案担当官の考え方が支配的なのでしょうか。
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ご回答 (内藤卓)
2010-09-27 13:36:26
 ご指摘ありがとうございます。確かに,稲葉威雄教授も,

「たとえば,会社法296条3項は,株主総会は取締役が招集する旨の定めを置くが,これは組織法上の行為であって取締役が行うべき会社の業務執行ではないとしてことさらに規定する趣旨なのか(業務を執行しない取締役もできる趣旨か),そうではなく業務執行ではあるが,執行役の職務から総会招集を外すためのものなのか(その実益はない),判然としない」(「逐条解説会社法第4巻機関・1」(中央経済社)368頁)

と批判(?)されています。

 しかし,この点に関しては,「職務の執行」という整理の方に与したいと思います。
http://blog.livedoor.jp/masami_hadama/archives/50055524.html
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