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中国・武漢市の感染者数ゼロという「嘘」

2020-04-28 15:05:26 | 国際
中国の国家衛生健康委員会は4月26日に武漢市の武漢コロナウィルスの入院患者がゼロになったと発表したが、それをそのまま信用する人はまずいないだろう。

この件について作家で中国ウォッチャーの石平氏が解説しているので、それを抄録の形で紹介したいと思う。


今現在、武漢コロナウィルスで大変な状態になっているのは、実は北京市なのである。

4月19日に中国のメディアが伝えた防疫情報によると、北京市の朝陽区(東京で言えば港区的なエリア)が「高風険地区」に指定された、となっている。「風険」とは「リスク」という意味であり、「高風険」で「高リスク」ということになる。つまり北京市の朝陽区で集団的感染が発生している、という事になる。

中国はもちろん首都を武漢コロナウィルスから防衛するために厳しい防疫措置をとっていたのだが、よりによって北京の中心部で感染拡大してしまったのだ。習近平が居る中南海(政治の中心地)の近隣であり、中南海から東へ少しいったエリアである。

武漢市から始まった武漢コロナウィルスであるが、中国にとっては今年に入って北京を死守する事が第一の目標になっている。もちろんそこに習近平が居るからであり、習近平自身にも感染の危険が及ぶからである。だから高リスクの地区に指定されたのだ。中国政府にとっては大事なのは北京市であり、地方都市はどうでもいいのだ。だから地方都市で感染拡大しても放置するだけである。

中国国内での感染者数などの情報はどうなっているのだろうか。日本のマスメディアは中国から公式発表の数字をそのまま垂れ流しているだけのポンコツなので全く当てにならないし意味がない。以下、中国国内のメディアでの報道や中国の公文書で示された情報から紹介する。(元の情報や文書は全て中国語で記されている)

3月28日
武漢市・防疫情報に依ると和平街の団地で感染者が13人出ている。

4月13日
北京に近い河北省邢台県では感染拡大の第2波が来つつある。邢台県では、省から秘密裏に視察に来る人が居るので管理レベルを以前の厳しいレベルにして問題が起こらないようにする、という通達が出ている。上(河北省)からの視察が無ければ放置しておくのがデフォルトだ。

4月20日
環球時報(人民日報系の宣伝機関)に依れば、中国東北部の大都会がかつての武漢と同じような状況になりつつあるそうだ。
記事のタイトルには「ハルビンの疫病の状況が再現された」「しかも省をまたいであちこちに伝播している」と記されている。
ハルビンの中にある97箇所の公園はピクニック(遊び、くつろぎ、将棋指し等)的な利用が一律禁止になった、ということである。

また、ハルビンの疫状(武漢コロナウィルス)が隣の遼寧省と内モンゴル自治区の2つで蔓延している、ということだ。ところが専門家は「都市封鎖の必要は無いだろう」と言っているそうだ。だが、武漢市がパンデミックで非常事態になった時も専門家は最初は同じことを言っていたのである。専門家のコメントが全然当てにならず信用できないのは日本も中国も同じようだ。

4月17日
中国新聞網(チャイナニュース)
ハルビンの副市長ら18人が問責された(責任を問われた)とのことである。疫病の感染拡大を防ぐことができなかったので責任を追求されて処分を受けている、そうだ。ウィルスは20日あたりから周辺地域で蔓延している状況になっており、それは各種の映像を見ても以前(1~2月頃)の武漢市と同じ様相を呈しており、市内のあちこちの施設なども封鎖されているようだ。都市全体の封鎖ではないのだが、都市封鎖も遠くないだろうと思われる状況だ。



中国政府は経済回復を急ぎすぎた為に新規感染者数を無理やりゼロにしたり(3/1以降は中国国内での新規感染者はゼロ、ということに中国共産党が決めた)、国民に対して「武漢コロナウィルス感染は既に治まったので安心して外に出て仕事せよ」と経済活動の再開を進める・・・といった方針を性急に進めた結果として北京や他の都市に感染が拡大した。いくら習近平が「新規感染者ゼロ!」と命令したところでウィルスは言うことを聞いてくれない。(蔑笑)

こうしてウィルスはまるでゲリラ戦のように感染を拡大させている。武漢市は感染が治まったかに見えても、突然ハルビンに飛び火するし、はては内モンゴル自治区や遼寧省にも感染が広がっているのである。しかも習近平のお膝元の北京市朝陽区も「高い危険な地区」という指定を受けてしまった・・・というのが今現在の状況である。


実際にこうした実態があるのだから「武漢/中国では感染は治まった」という中国の発表は完全に「嘘」なのである。




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