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Something New.

中国 可視化された権力闘争の模様

2022-10-23 03:50:00 | 国際
中国共産党内部の権力闘争は凄まじいものがあるが、法律よりも憲法よりも共産党の方が上位にある中国では、結局共産党トップ(=習近平総書記)の意向一つでどうにでもなる世界であり、それが中国という野蛮で凶暴な国家の実像である。

10月22日に北京・人民大会堂で開催された中国共産党大会の閉幕式での一場面である。最後に行われる習主席の演説に先立って、習近平総書記の隣に座っていた胡錦濤前総書記が突然係員の男たちに腕を掴まれて退席させられる、というシーンが見られた。胡錦濤氏は席を離れることを拒否している様子だったが、最終的には係員に腕を掴まれた状態で会場から退出させられたのである。体調不良云々という説もあったが、胡錦濤氏の足取りはしっかりしており、習近平主席の意思で退出させられた事は間違いないであろう。


『退出させられる胡錦濤氏(画像)』
『退出させられる胡錦濤氏(映像)』


大会開催中のこれである。習近平氏にとって突然何か不都合な展開があったのであろうか…。

胡錦濤氏は退出を促された時に隣の習近平氏の前に置かれていた書類を手に取ろうとしたが習近平氏に遮られた。その後、退出させられる時に共青団派 (*1) の李克強首相の肩付近の腕に手を置いた。対習近平という意味で「頑張れ」という無言の励ましを送ったのであろう。

ちなみに、胡錦濤氏は党総書記・国家主席を中国の規定通りに2期10年で辞めたのだが、鄧小平氏が始めた改革開放路線をきちんと形にしたのが胡錦濤氏である。一方で、実績皆無なのに規定を無視して権力の座に居座り続ける習近平氏である。そして、その権力3期目の冒頭に政敵の排除を実演して見せたのだ。いわば可視化された権力闘争のえげつない一場面である。

米CNN は、「胡錦涛氏が閉会式から連れ去られた映像が中国政府によって検閲され、映像が突然消えた」と述べている。仮に胡錦濤氏の体調の問題なら映像を消す必要は無い筈である。やはり習近平氏に都合が悪い事態が起きたが故の強制排除、と見るのが妥当であろう。

中国とは、中国共産党とは、こういう国なのだ。

この件を報道する日本マスコミは胡錦濤氏が「退席した」と言う言葉を使っているが、「退席」だと自主的に退出するようなニュアンスになる。実際は否応なく強制的に排除されているので、日本のマスコミは中国に忖度しているのだろう。親中マスコミらしい偏向報道である。


そして、胡錦濤氏が強制的に連れ出されたこのシーンは何を暗示しているのだろうか。

それはこれからの中国の有り様である。経済はますます統制されることになり、以前からの改革開放がもたらした「実」は雲散霧消するだろう。

数量政策学者の高橋洋一氏に依れば、「中所得国の罠」というものがあって、民主主義国でないと「1人当たりGDPは1万ドルを超えられない」という法則が厳然と存在するのである。共産主義国のままではこれ以上の経済成長は”無い”、と断言できる訳だ。

中国には日本企業が多く進出している。これから始まる中国の一層の暗黒社会化を考えると、中国脱出を希望する企業も出てくるだろうが、決断が遅れて脱出し損なった企業からは犠牲者も出る可能性がある。これは本当に心配されるところである。

また、言論と人権は一層酷い状況になってゆくだろう。もちろんウイグルやチベット・南モンゴルなどへのジェノサイドも同様だ。台湾侵攻も懸念される。3期目どころか、最終的には終身総書記を目指す習近平氏は以前にもまして好き勝手にやり始めるであろう。


日本の隣にある凶悪なモンスター反日国家、それは日本が戦後の惜しみない援助で育ててしまった怪物であり妖怪である。(*2) これからの日本は相当な覚悟と十分な自衛力を持たないと、この怪物に飲み込まれて消滅するかもしれないのだ。冗談ではない。非常に現実的なリスクである。




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(*1)
共青団派:中国共産党内の派閥の一つである。中国共産党の下部組織で、共産主義青年団(共青団)の幹部出身者を中心に構成される。団派とも呼ばれる。1984年から約2年間共青団のトップである中央第一書記を務めた胡錦濤氏が、1992年にポスト江沢民として最高指導部入りを果たすと、共青団時代の自分の部下を次々と抜擢して一大派閥を形成した。主なメンバーに李克強氏(首相)、李源潮氏、劉延東氏、令計画氏、周強氏、胡春華氏などが居る。

(*2)
この凶悪な怪物国家に全面ご奉仕するのが日本の左翼野党でありマスメディアである。