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日本の原潜保有「今でしょ」が理解できない岸田首相

2022-06-21 21:12:12 | 社会・政治
6月19日にフジテレビの朝の討論番組で与野党9党首が揃って日本の防衛について議論した。番組では質問として「抑止力の為に原潜を保有すべきか」と提示された。あくまで「すべきか」である。これに対して立憲民主党、公明党は否定的な見解を示し、共産党、れいわ新選組、社民党は反対した。一方、日本維新の会、NHK党は導入を主張し、国民民主党も検討すべきだとした。岸田首相は眠ったような感じで「賛成しない」と否定的な発言をした。これについて数量政策学者の高橋洋一氏の解説を基調に記してゆく。

岸田首相の否定的な姿勢は駄目であり、かなりマズイことだ。「べきか論」であり抑止力の話なので、すぐにはできなくても「こういう方向で」ぐらいは言ったほうが良かったのである。

岸田首相が原潜導入に否定的だった理由を聞いて高橋氏は喫驚したそうだ。原潜を導入すれば間違いなく抑止力になるので、普通はその方向性だけを聞かれたら「検討する」か、或いは「持つべき」というのが普通である。だが、岸田首相は「開発コストもかかるから」という言い方をしたのだ。他の分野もあるので原潜は(コスト的に)できないという言い方をした。はっきり言ってこれは間違いである。

国防の話についてはお金の話をするのはよろしくないのだ。世界中どこでも国防はコスト面をあまり考えないで進める…それが普通の常識なのである。世界中の何処の国であっても有事の時には戦費の調達については財務大臣を外して議論するのは常識である。ういうものなのだ。戦費をケチると弾丸がなくなっても補充できないといった事にもなりうる。現場でそうなっては大変なことだ。あくまで現場重視で考えなければならないから仕方がないのである。

日本の周囲を含む国際情勢的に現在は「有事に近い」状態にあるので、そのような切羽詰まった状況下で「開発コストが…」なんて言ってる場合ではないのだ。そこが岸田首相は全く判っていない。

だがしかし…。

それでも「開発コストが」と言われるなら、それには簡単に反論することは可能である。原子力潜水艦を自前で一から開発するから費用がかかるのである。だったら、直接開発せずにレンタルでもいいじゃないか、という話だ。半分真面目で半分冗談のような話だが、そういうことなのだ。何しろ取り急ぎ保有して運用できるようにすることが大切なのである。

具体的にどうするのかと言えば・・・
例えば、アメリカで原子力潜水艦が耐用年数を迎えて退役する時、その時に買えばいいのだ。当然ながらアメリカでは減価償却が終わってるから安く買えるのである。どんな製品でも耐用年数を超えたらすぐに壊れるということではないのでメンテナンスをきちんとやれば使えるのである。そもそも耐用年数は余裕を持って考えられているのだ。

アメリカがずっと運用をしてきているので乗組員もレンタルして運用について教えてもらえば簡単に習熟できるのである。それで十分なのだ。しかもアメリカの原潜はSLBM(潜水艦発射弾道ミサイル)を積んでいるので いつでも発射できるから抑止力は飛躍的に上がることになる。これは実質的に優れたやり方と言えよう。(*1)

インドでは実際に最初に原潜を導入した時には他国から買っているのである。どこの国でも最初はそんなところから始めるものなのだ。レンタルしたり中古を買うというのは実はそそれほど変な話ではないのである。逆に自前で全部開発するとなるとかなりの年月もかかってしまうので実際的ではない。

実は中国だって初めて空母を導入するその時、最初はウクライナから中古の空母を買ったのである。そこから運用・整備しながら習熟することで改めて新空母の開発につなげたりしているのだ。
最近、中国で就役した新造空母の名前は「福建」である。中国側の理屈では台湾は福建省に属することになっている。つまり、「この空母で台湾を攻撃するぞ」という意思表示になっている名前なのである。既にそのような危機が差し迫っているのが実情であり、この状況下で日本も原潜が無いとかなり大変なことになるのだ。

であるにも関わらず、「開発コストがかかる」などと言って原潜導入を渋る岸田首相。岸田氏の言い分は財務省・主計局の主査レベルの話である。情けないにもほどがあるというものだ。しかも首相はそれをテレビで言ってしまったのだ。

なので、今、自民党は焦っているのである。これは選挙戦には良い影響は与えないからである。非常にイメージが悪いのだ。岸田氏が乗り気でないのなら取り敢えずお得意の「検討します」と言っておけば良かったのに…。自民党にとっては明らかにマイナスである。

現在、実際に中国は空母をせっせと増やしているのであり、日本も対抗するには原子力潜水艦が必要になるのは必至なのだ。ところが日本のトップたる人間にその意識がないことが周知されてしまったのは非常に芳しくない事態なのである。やはり能力もセンスもない岸田氏には有事下の舵取りは無理というものだろう。ただでさえ財務省のいいなりでしかない人物である。討論会での発言だけ見てもそれがよく判るというものだ。





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(*1)
敵に対しては「ひょっとしたら既にSLBM搭載かもしれない」と思わせられるので良いのだ。(笑)