Altered Notes

Something New.

バイデン政権の2トラックポリシー(中国に厳しいように見せかけて実は甘い姿勢)

2021-02-28 00:57:00 | 国際
バイデン政権に於いてCIA長官に指名されたバーンズ氏は「中国は権威主義的な敵対国」と発言したのだが、これは本音だろうか?

最近の動静を見ているとバイデン政権は中国に厳しく接するかのように見えているが、そもそもバイデン氏と中国の異常なほどの親しさから考えると、香川照之でなくても「本当に、そうでしょうか?!」、と質したくなるというものである。この辺の裏事情を国際政治学者の藤井厳喜氏が解説しているので、その内容を紹介する。



2月24日にアメリカ上院情報特別委員会の指名承認公聴会が行われて、中央情報局(CIA)長官に指名されたバーンズ元国務副長官が証言した。バーンズ氏は習近平体制下の中国を”手強く権威主義的な敵対国家”と位置づけて、中国を破ることが向こう数十年間に渡るアメリカの安全保障の鍵となる、と強調した。また、バーンズ氏は略奪指向の強い中国指導部はアメリカに最大の地政学的な試練を突きつけていると強調した。中国は知的財産摂取の能力を系統的に強化させている一方で自国民を抑圧し近隣諸国を脅かし、自国の勢力を世界規模に拡大させることでアメリカ社会へ影響を及ぼしているとして危機感を表明した。さらに、中国政府がアメリカ国内の大学などに設置する中国語教育普及の為の非営利機関である「孔子学院」について、中国に依る影響力を浸透させる為の工作であり真のリスクだとしてアメリカの教育機関に厳重な警戒を呼びかけ、「自身が大学の学長ならば孔子学院を閉鎖する」と言明している。

どうだろうか。バーンズ氏の主張は一見したところ、中国に対して厳し目な内容に見えるのだが・・・。

実は違うのだ。これはバイデン政権がやっているトリックなのである。藤井厳喜氏はこれをバイデン政権の「2トラックポリシー(二重並行路線)」と呼んでいる。

どういうことだろうか。

表の目立ったところでは厳しい対中態度を示しながらも、裏で少しずつ中国に対する規制や制裁を解除していく、という真逆の動きをしているのだ。そして、これは既に始まっている。

バーンズ氏は中国に厳しい姿勢を示す形で発言したが、実はそう言っておかないとCIA長官として上院の承認が取れないからである。この一方で、バイデン政権は孔子学院に関するトランプ政権が導入した規制を解除してしまっているのだ。トランプ政権はアメリカの教育機関に対して「孔子学院と業務提携した場合、(大学だけでなくハイスクールも含めて)、その情報開示を義務付ける、というものである。平易に言えば、提携をやるなとは言わないが、やった場合はちゃんと連邦政府に報告しなさい、という規制である。これをやってきたのである。そうしないと連邦からの補助金等を受け取れないシステムになっていたのだ。

ところが、1月26日に確認されたところではバイデン政権はこの政策を静かに取り消していた、という事だ。アメリカの移民税関捜査局(ICE)は孔子学院に対するトランプ政権の政策が撤廃されたことを認めたのである。これに対して下院のマイケル・マコール氏(外交委員会の委員長)もバイデン政権が議会の意見を求めないままに孔子学院に対する規制を静かに撤廃したことは不安のシグナルだ、と言っている。「中国は米教育界に対する脅威である」と言って共和党側のマルコ・ルビオ上院議員も非難したのだ。

こうした経緯があったのだ。こういうことを陰に隠れてこそこそやるのがバイデン政権なのである。



バイデン大統領は1月20日に就任したが、「彼は自分が何に就任したのか果たして判っているのだろうか?」というジョークがある。自分が大統領になったことを自覚できているのだろうか?と。

大統領選挙期間の当初からバイデン氏には認知症疑惑があった。バイデン氏は選挙期間中に「上院議員に立候補しております」という言い間違いを何回かしている。明らかに頭がおかしくなりかけている事を伺わせる事実だ。

バイデン氏は1月20日の就任直後に異例の大統領令17本に一斉に署名している。(*1)

アメリカでは「大統領令で政治をする」ということは許されていることだ。実際、トランプ政権もその手法を使ったしオバマ政権でも使っている。ところがバイデン氏はトランプ氏を批判する時に「大統領令で政治をするのは良くない。立法機能は議会のものであるから大統領令で政治をするのは独裁政治であって民主政治ではない」と明言していたのである。そのバイデン氏が就任当日にスタートダッシュで17本もの大統領令を出しまくったのである。そして、就任から10日間では異例と言える45本もの大統領令を出したのだ。議会に諮ればOKが取れない政策を大統領令でどんどんやってしまう、という事である。

1月20日に出した大統領令の中で非常に注目すべきものがある。それはトランプ大統領が出した大統領令を否定して撤回する為の大統領令である。

どんなものか?

アメリカの送電網に使う部品などにファーウェイなど特定の外国企業の部品調達を禁止する大統領令である。これを去年の5月1日にトランプ大統領が出していたのだが、これを撤回する大統領令をバイデン氏は出したのだ。これが初日の17本の内の1本である。

バイデン大統領ガダした大統領令は取り敢えず「90日間の差し止め」なのだが、恐らく永久化されるだろう、と見られている。送電網といえば要するに国内の非常に大事なエネルギー・インフラである。これにファーウェイ等の中国企業のデバイスを使うというのだから大きな疑問である。中国がその気になればサイバー攻撃に依ってアメリカ国内で大規模な停電が起きてしまうかもしれないし、起こせる、ということになるのだ。

トランプ大統領はこうした深刻な事態を回避する為にファーウェイ等の中国企業から部品調達を禁止する大統領令を出したのだ。渋い大統領令だが、トランプ大統領は細かいところまで目配りしていた、ということである。せっかくのこの大統領令をバイデン氏は就任初日に撤回してしまったのである。


もう一つ重要な案件は中国の有名な「千人計画」に関するものだ。

外国の有能なブレーン、特に科学や軍事関係の技術を持つ科学者を動員しようというものだが、これもトランプ政権で厳しく規制されて、ハーバード大学の学部長まで捕まったりしていたのだが、これに関しても司法省が「千人計画へ参加していた科学者が、今まで内緒にしていた千人計画への参加を公表してくれたら全部恩赦してしまおう」という計画を検討中なのである。

・・・と、このような按配で、明らかにバイデン政権において対中妥協の姿勢が見えてきているのだ。


1月26日に出されたバイデン氏の大統領令の一つに「アジア系アメリカ人への人種差別や偏見解消を目指す」というものがある。これなど一見したところでは「あぁ、いいじゃないか」、と思えそうなものだ。「それならば日本人も差別されないでいいのかな」、と推察されるところだが、実は全然違うのだ。

これは明らかに中国人を対象にしたものである。現在、世界中に猛威を奮っている新型コロナウィルスをその発祥地の名前である「チャイナウィルス」とか「武漢ウィルス」などという言い方を禁止する、という内容である。「アジア人」と言っているが、実際上は中国出身者のみを対象にした優遇策である。人権擁護は結構だが、これは実際には「中国のスパイ活動を米国内で摘発する事を抑止する根拠」になってしまうだろう、と憂慮されるのだ。中国に対してむしろスパイをやりやすくする為の環境つくりとも言えるだろう。

この大統領令について日本の例えば中日新聞などの左翼メディアは「トランプ大統領を暗に批判するもの」として紹介しているが、それは全くのデタラメでありトランプ氏を悪者に仕立てたいメディアに依る嘘報道(フェイクニュース)である。呆れるほどデタラメな報道だ。本当に日本のメディアは骨の髄まで腐りきっている。報道内容全てを左翼のプロパガンダにした上で「自分たちは公正な報道をしてます」というフリをしているのだから。国民・視聴者を騙しているのである。これほど凶悪で阿漕な事をしているから購読者数がどんどん減少していくのだが、彼らは自分で自分の首を絞めていることにも気が付かないようである。(蔑笑)

閑話休題。

バイデン政権はこうした目に見えにくいところでは中国に対して妥協の度合いが強く広くなってきているのである。現在、大問題になっている中国に依るウイグルの虐殺についてもバイデン政権内で「虐殺を肯定する」かのような発言もあるのだ。

2月16日にバイデン大統領はウイグル問題についてとんでもない発言をしている。タウンホールミーティングという一般の国民と話し合うイベントがあり、CNNで中継もされている。

この中でウイグルで起きている事象についてバイデン氏は「ジェノサイド」という言葉は使わなかったのだ。「人権問題で習近平氏にいろいろ文句は言ったよ」、という発言はあった。これは2月10日の電話会談のことである。

何を言ったのだろうか?

バイデン大統領は「各国はそれぞれの国にある文化的規範に従って行動する」と言ったのだ。中国については、恐らく清朝末期のようなことを言っているのだろうが、「国が乱れると外国に侵略される」ということがあるので非常に強い統一した強権的な支配をする」、というのが中国の文化だ、と言っている。文化的規範に国のリーダーは従わなくてはならない、と、あたかも強権支配が中国では当然のことであるから一種の文化相対主義と言うニュアンスの話をしたのだ。「だから弾圧しても良い」と言ったわけではないのだが、いわばそういうニュアンスの話をしたのである。

それで非常に非難が集まっているのだ。そういうところに於いても、バイデン家はファミリーごと中国に買収されているのでこうなってしまうのである。

この人権問題については最近、池上彰氏が大恥をかいた(*2)ようだが、トランプ政権はウイグルの人権問題について深く踏み込んで経済制裁まで実施して正していこうという態度をとったのである。前のオバマ政権では口頭では非難しても実地の制裁などはやらなかったのだ。

それを経済制裁措置で外交を裏付けていく、ということで深く踏み込んでやっていたのである、トランプ政権は。実は藤井厳喜氏はトランプ政権発足時には実は心配があった。経済問題で妥協が成立してしまうと人権問題にまで踏み込まないのではないか、と。だがそれは杞憂だった。2018年10月4日のペンス副大統領の演説以来、全面的に対決していく事となったのである。


アメリカにとってウイグル問題は扱いにくいところがある。ウイグル人のほとんどは穏健なイスラム教徒である。ウイグル人で過激なイスラム教徒はほとんどいないのだ。それでもアメリカは9.11以来、イスラム過激派テロリストと戦ってきたので、イスラムの穏健派だとは言うけれども、イスラム教徒の人権を擁護するということになるので実際には扱いにくい問題ではあったのである。しかし、そこへトランプ政権は勇気を持って一歩も二歩も踏み込んでいったのだ。経済制裁までやったのに、それがバイデン政権のおかげで状況が怪しくなってきている、ということである。


バイデン大統領は表向きの発言は結構良さげな事を言ってるように聞こえるのだが、裏の方ではこそこそと実際的な制裁措置を解除していく、という動きを見せているのだ。或いはバイデン発言自体が怪しさ百倍だったりするのだが。

だいたい「文化的規範」とまで言うならばウイグルは元々独立した民族であり独立国でもあったわけだから、ウイグル民族ウイグル社会の文化的規範を重んじるのが筋というものである。ウイグルを捉える時に伝統的な中国社会の文化的規範を持ってこられても困るのだ。全く筋違いの話なのである。

そもそもウイグル・チベット・内モンゴルは中国/中国共産党が侵略行為をして奪った土地なので、その占領地に於いて非人道的で人権を侵すような行動を臆面もなくとっていることが問題なのであって、これは文化論で片付くような問題ではないのである。その意味でバイデン氏の意見は話のすり替えをしている事になる。


バイデン政権の安全保障問題担当の補佐官でジェイク・サリバン氏という男が居る。過去にはバイデン副大統領時代にも安全保障問題担当補佐官をやっていた人物である。彼が政府を離れている時にイエール大学の中国研究センターのフェロー(研究員)であった。

このセンターは親中派の人間の全面的な寄付によって成立している。この親中派の人物、国籍は中華民国であるのだが、大陸から来た外省人であるポール・ツァイ氏という人である。彼はイエール大学出身でお金を寄付してポール・ツァイ・チャイナ・センターを設立した。本人は既に亡くなっており、現在は息子のジョセフ・ツァイ氏が後を継いでいる。ジョセフは1999年にジャック・マー氏と一緒にアリババを創業した人物でもある。当然、もの凄い大金持ちである。そして中華民国籍だが親中派である。

この人が2016年に3000万ドルという巨額の寄付をして設立されたのがチャイナ研究センターであり、そこに居たのが前述のジェイク・サリバン氏なのである。

もうひとり、バイデンの中国問題の専門家のシニアアドバイザーでラップフーパー氏(*3)という女性が居る。この人もチャイナ研究センターに居た人物だ。中国から呼んできた研究員も居るのだが、中国共産党や人民解放軍の幹部の人たちばかりである。そういうところでなぁなぁの関係で仲良くやってきた人々なので、彼らからどういう政策が出てくるかは「お察し」、つまりおよそ想像がつくというものである。なにしろ、資金は全面的に中国側に依存していたのだから。なので、小さなところを丹念に見ていくと「怪しい」、という事になってくるのである。





-----------------------



(*1)
当ブログの記事「走り出したバイデン政権:その実態」でも記したように、認知症疑惑のバイデン氏は大統領令への署名をカマラ・ハリス副大統領に”やらされていた”のである。バイデン氏自身は「何に署名しているのか判らない」と言いながらせっせと署名したのだが、それがどのような大統領令なのかも認識・理解しないままであったことは重要な事実である。

(*2)
池上彰氏の番組で、池上彰氏は「トランプ大統領は人権に関心がなかった」と言い切っていたのだ。もちろん真っ赤な嘘であり事実と全く異なるのである。

(*3)
米シンクタンク、外交問題評議会(Council on Foreign Relations)の上級研究員ミラ・ラップフーパー(Mira Rapp-Hooper)氏である。