Altered Notes

Something New.

中国にすり寄る日本財界と政界の卑しさ

2019-12-04 21:00:00 | 国際
香港の騒動はいぜん続いており、アメリカのトランプ大統領は11月27日に香港の人権や自治、民主主義を支援する「香港人権民主主義法案」に署名した。

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ロイター電によるとアメリカは香港との貿易では大きく黒字であり、昨年は338億ドルの黒字だった。すなわち、対中国の制裁を実施するとアメリカにとっても経済的には痛いのである。しかしそれを承知で制裁をやりましょうということなのだ。決して高みの見物をする訳でもない。

香港で民主化運動をやってる人たちはアメリカの制裁法案が通って喜んでいるが、しかし彼らにも経済的な痛みが来ることになる。・・・というのは、民主化運動を弾圧した人物をアメリカに入国禁止にしたり、その人物の在米資産を凍結したりできるのである。その一方で同時に通商上、香港の優遇措置を廃止することもありうるのだ。

そうなった場合は香港経済は間違いなく落ち込むことになる。香港人も経済的に苦しくなるのだ。だけども、香港の自由と民主政治を守るためにはアメリカだって損を被ってもやる、という覚悟で臨んでいるのだ。ここが最も大事なところで、金儲けよりもっと大事なものがある筈なので日本の財界はいったい何を考えているのか?

香港だけでない。チベットやウィグルにも非人道的な酷い仕打ちをし続ける中国と経済活動を行ってさらに儲けたい…というのが日本の財界の姿勢であるが、こんなことは日本人が絶対にやってはならないことだろう。中国は明らかに数々の不正なことをしでかしており、そういう国家・政権と付き合って金儲けをして私腹を肥やす、というのは「卑しい考え」であって道徳的に正しくないのは明らかだ。

今回の措置でアメリカ自身も中国から入ってくる安い製品に高関税をかけることになる。そうなれば当然物価が上がる。その商品を輸入して利益を得る業者は困るだろう。中国に穀物を輸出しているアメリカの農民だって困るのだ。だがしかし、それを我慢してでも貫くべきもっと大きな目的があるよね、ということなのである。

アメリカの真意というか意図はアメリカ自身の大きな覇権を維持するためにやっているのだが、それは同時にアメリカの技術を守るという意味もあるのだ。国益のためにやっている、と。

ヨーロッパ諸国はどうだろうか? ヨーロッパは米中の闘いにはそっぽを向いていた。ドイツなどは中国経済との関係が深いからである。ところが流石にメルケル首相も最近態度を変えて、ファーウェイの排除はやらざるを得ないだろう、ということになってきた。そうした風向きが変わってきたことでヨーロッパも足並み揃えてやっていこうか、と・・・そういう方向に向き始めたようだ。

ドイツ銀行というドイツ最大の銀行がある。経営的には破綻しているのだが、資金が枯渇した時に最後に頼ったのが中国だったのである。中国の海航集団というコングロマリットが10%の株を買って筆頭株主になったのだが、実はそこも資金がなくなったことで既に株を売りに出しているのが実態だ。

ヨーロッパは中国に甘かったのだが、やはり「自由とか人権の問題は見過ごせない」ということになってくると、日本だけが突出して親中国外交を進めるのはどう見ても悪目立ちすることになる。中国の王毅外相と茂木外務大臣は共同で「人的交流を拡大しよう」などと言っているくらいで、これはまずいのではないか、と。

現状でヨーロッパもアメリカも拡大どころか足踏みするか絞りこんでいく方向に舵を切っているのだ。現状の中国では駄目だ、と圧力をかけている時に真逆の方向に進むのはどう考えてもおかしい。また中国に行ったところで外貨もあまりないから対して儲からないのが実情だろう。日本国内の経済が良くないものだから、中国へ行けばまた金が儲かる、と考える卑しい考えの財界人・経済人が少なくないのである。しかもそれに政治がなびいているのだ。二階幹事長のコメントなどを聞くと日本人としておよそ信じがたい内容であるし非常に問題があるだろう。

中国・・・と言っても我々が留意すべき対象は誰なのか。

中国の「一般人民」と「中国共産党政府」は分けて考えるべきであろう。あくまで我々の敵は中国共産党である。中国国民の1割位が中共の関係者であり、これは敵ということになる。しかし人民の中には劉暁波氏のような立派な人もいることはしっかり認識しておくべきだろう。中国で共産党政権が滅びたならば最も喜ぶのは多数派である中国国民なのである。

ここはしっかり区別しておいたほうが良い。

中国の文明に対して批判的な向きもあるだろうが、しかしそこは取り敢えず棚上げしておこう。敵は絞らなくてはならないのである。あくまで敵は中国共産党なのだ。中共にとっては自由も人権もへったくれもないのである。

中国に対しては、日本には「そもそも」という話がある。

日本は”30年待った”のである。

何を待ったのか?

1989年に天安門事件が起きて中共は立ち上がった学生たちに酷いことをした。鄧小平含をめてあの当時の中国の指導者は天安門事件について何と言ったか?
「我々の経済は非常に良くない。資本主義の国も最初は開発独裁をやったではないか。我々は政権の安定がまず大事である。まず政権を安定させてから次に経済を発展させるのです。自由とか民主政治とかはその後のことだから・・・だから20年待ってくれ」、と言って、いわば責任逃れをしたのだ。

それで日本は待った。
20年どころか30年も待ったのだ。それでどうなったか?

中国の実態は天安門事件当時よりももっと悪くなっているのが実態だ。いかりや長介氏なら「駄目だこりゃ」と言うところだろう。

国家の成長の仕方には一つのパターンがある。アメリカも日本も豊かになってくると中産階級が生まれるし、外国人とも付き合うようになる。情報も入ってくるだろう。そうなったら中国のような独裁体制(野蛮な体制)は自然に緩んできて、例えば少数民族を大事にするとか、我々の世界のような法治主義や基本的人権などが理解される社会になってくるのでは、と期待されたのだ。独裁でも啓蒙的な独裁という形はあり得るので。そういう可能性に賭けて見守ってきたのである。

しかし結局それは幻想だったのである。これによってアメリカは結論を出したのである。「自分達の判断は間違っていた、間違いだった」と。

ペンス副大統領は「30年前に彼らがそう言うから中国と親睦を深めてきたのにこの現状は一体何だ?」と、具体的に一つ一つ挙げて言っているのである。これが政治家というものだろう。立派な演説であった。

この点では日本は真に反省すべきである。1972年に日中国交正常化が成されたが、当時の中国は非常に貧しかった。当時の毛沢東主席と田中角栄首相が握手して一時期は日中友好で本当に仲良くやっていたのだ。中国はお金も技術も欲しかったし、日本は隣の貧しい国を助けるためにせっせと援助した。日本人には自然な贖罪観のようなものを心に持っていた。別に中国を侵略したつもりはなかったが、国民党と戦って一般大衆は非常に困っていたというのが事実だろう。なのであの国をなんとか良くしたい、と、かなり純粋な気持ちでODAも3兆円以上も出して、民間投資も4兆円以上やって、合計7兆5千億円くらい投入している。7兆5千億も入れたらどんな国だって豊かになるだろう。

そこまでして協力し続けた結果はどうだったか?

出た結果は真逆だった。恩を仇で返す酷い国だったのだ。いくらなんでももう結論を出したほうが良いだろう。中国に対して「少なくとも今までのやり方は反省してくれないと、もうちゃんとしたお付き合いはできません」と言うのだったらともかく、それをしていないのが日本の駄目なところなのである。

アメリカは方向転換が早い。ある意味でずるいと言えばずるい。過去にはアメリカが日本を叩くときに中国の安い労働力を使って日本企業を叩いたりもした。

アメリカは中国へ期待を持ちつつ今までやってきたのだが、結局駄目だったので反省して結論を出したのだ。いつまでもダラダラ続けるのではなく、政策というものは一定の期間で結論を出さないといけないものだ。日本もそれを見習うべきであろう。本当に。