Altered Notes

Something New.

「子供部屋おじさん」という嘘

2019-12-16 19:39:00 | 社会・政治
ニッセイ基礎研究所に天野馨南子氏という生活研究部准主任研究員が居る。この人物は現代日本が抱える大問題である生涯未婚率増加や少子化の原因を未婚の独身者なかんずく社会人になっても実家に住み続ける独身男性にあるとし、彼らに対して悪意を込めて「子供部屋おじさん」という蔑称を付けた。しかも日本の少子化が進んでいるのはこの「子供部屋おじさんの急増」が原因だと根拠無く決めつけている。

わざわざ「子供部屋」と「おじさん」というワードを選択している事から「子供部屋おじさん」には明らかに対象者への蔑視感情が存在している。一種のヘイトである。

こうした悪意ある決めつけに対して博報堂の独身研究者である荒川和久氏は

子ども部屋おじさんと揶揄する人に欠けた視点

に於いて、天野氏の指摘と考察を事実ではない誤った判断としている。

その詳細内容はリンク先の荒川氏の記事をお読みいただきたいが、研究員たる天野氏の問題点を下記に列挙する。


[1] 「子供部屋おじさん」という悪意と蔑視感情に彩られたネーミング。

[2] 男性を貶めたい感情が優先しており、客観的な視点に欠ける。

[3] 実家で暮らす独身者はほぼ男女同数なのに男性側だけに脚光を当てている。生涯未婚や少子化の原因を根拠無く独身中年男性と決めつけて罪悪視するという不当な決め付けが見てとれる。女性をあげつらうと炎上する可能性が高いことと、記事の筆者もまた女性であり、男性だけに罪を負わせたい意図が感じられる。

[4] 実家で暮らす独身者数はここ数十年ほぼ変化していないし、実際には微減しているにも関わらず、「子供部屋おじさんが急増」と事実に基づかない嘘の説明をしている。

[5] 男女とも未婚者の6割以上が親元で暮らしている現実を無視しており、しかも歴史的に見て結婚する時に初めて親元から出る形が普通であるにも関わらず、親元で暮らす事を理由の如何を問わず否定的に見て揶揄していること。(*1)

[6] 統計データから、親元で暮らしている事が未婚率上昇の原因とは言えないにも関わらず、親元に居る事が問題と決めつけていること。

[7]「おじさん」という属性ならばいくらでも叩いていい、という風潮を作り自らそれに乗っかって煽っていること。

[8] 生涯未婚の増加を独身中高年男性だけに責任を負わせて一種の”魔女狩り”を推進していること。

[9] 天野氏の記事以来、「子供部屋おじさん」というワードはメディアへの波及含めて社会的な広がりを見せており、事実に基づかない間違った認識が社会に広まってしまったこと。


こうしてみると天野氏の記事は偏見と悪意に満ちたものであり、何らの客観的事実をも表すものではない上に、この言葉を社会的に広めてしまった事は大きな罪と言えよう。言ってみればただの「中高年独身男性に対するヘイトスピーチ」でしかない。平易に言えば「いじめ」である。事実に基づく分析ではなく、天野氏自身が”独身の中高年男性を中傷し叩きたい”という願望を”捏造された事実”にすり替えて社会に広めることで自身の欲求を満たそうとしている、ということ。正にヘイトスピーチであり、天野氏の罪は非常に深い。

荒川和久氏が言うように、結婚しなければそのまま実家に居続ける事は古今東西普通の事なのである。何が何でも一人暮らしをしなければならない法律も慣習も無いのである。しかも実家で親の側に居れば、仮に親が要介護の状態になっても子がそばにいるならばすぐに対応可能というメリットまである。


ちなみに天野馨南子氏は政府・内閣府の少子化対策関連の審議メンバーでもある。国の少子化対策は全くその役目を果たしていないが、このような歪んだ観念・思想にとらわれた人物が中枢メンバーとして関わっているのなら何らの実績もあげられないのも納得というところである。(蔑笑)



参考資料:
皆の安心のために生贄とされた「子ども部屋おじさん」という不実



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(*1)
「パラサイト・シングル」という言葉を作り流行・定着させた大学教授の山田昌弘氏も実家暮らしの独身者を差別する悪意が見られる点で罪深いと言えよう。


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<2020年7月5日:追記>
テレビ朝日のドラマ「BG」第4話で中年独身男性が登場し、それをドラマでは「子供部屋おじさん」と呼称している。天野氏の間違った認識と悪意がこうしてドラマの世界にまで浸透している。ドラマになればさらに中高年独身男性への風当たりは強くなるであろうし、その結果として追い詰められる男性も出てくるだろう。ドラマでわざわざ「子供部屋おじさん」という間違った言葉を使うテレビ屋の凶悪な姿勢に強い憤りを感じる。