4月27日 (土)
春の桜もいいが、この時期の萌える新緑の美しさ格別である。
当地に来て23年、毎年眼一杯に広がるこの新緑の景色を書斎の窓から見てきたが、飽きることはない。
初めの頃は緑の中にわずかに人家が点在するだけだったが、年とともに人家は増え続け今では緑と屋根が半ばするようになったが、心にしみるこの緑の景観はまだ失われていない。
これから後、何度こうした緑の中に居る自分を見ることが許されるだろうか。
いずれにせよ、定年退職後それまで縁もゆかりもなかったこの土地を終の棲家にして今日まで至ったことは正解だった。
古代インドのライフステージに「林住期」というのがあるそうだが、この自然環境こそ「林住期」にふさわしい。もっとも実年齢の私は「林住期」などとうに過ぎているが……。
このような土地に住むことを縁付けてくれたいまは亡き先輩IWにはただただ感謝のほかない。先輩がいなければ今のように美しい自然の中で満ち足りた悔いなき余生を送ることはできなかったことだけは確かだ。