京都で定年後生活

2013年3月60歳で定年退職。

美術館と庭園めぐり、京都の四季の行事と花を綴ります。

喜多川歌麿「深川の雪」世紀の大発見

2014-03-08 06:34:10 | 美術・博物館

喜多川歌麿の幻の作品「深川の雪」が発見されました。
縦2m、横3.5mの浮世絵史上最大級の作品です。

この作品が発見された経緯などは、3月2日の日曜美術館アートニュースで紹介され、さらに5日のNHK歴史秘話ヒストリアという番組で、「大発見 !歌麿の最高傑作 巨大美人画に秘められた真実」でも放送されました。

私はワクワクしながら、作品を食い入るように見ました。
素晴らしい浮世絵の大作・肉筆画です。





















制作されたのは、歌麿最晩年の1802年頃から、1806年と推定されています。
精密な筆使いと流れるような構成、歌麿の最高傑作と考えられています。

登場人物は27人、着物の模様、仕草、表情までかきわけられています。
作者を示す書き込みはありませんが、歌麿自筆の作品と認定されました。

現在確認されている歌麿の作品は2000図以上ありますが、ほとんどが版画です。
肉筆は40点ほどです。





この作品の最も古い記録は、明治12年の「展覧書画目録」です。




歌麿が描いた「雪月花図紙本大物 三幅対」のひとつと考えられます。





歌麿の三部作はその後フランスに渡り、「吉原の桜」と「品川の月」は今、アメリカのフリーア美術館とワズワース・アセニアムにあります。





「品川の月」





右上の月を御覧ください。












「吉原の桜」
















今回見つかった「深川の雪」は、昭和23年銀座で開かれた展覧会を最後に姿を消しました。
以来、その存在はモノクロ写真でしか知られておらず、幻の作品として憶測を呼んできました。
それが2012年初め、古美術商が作品を入手し、64年ぶりに姿を表すことになったのです。
しかし、シミや虫食い、破れ、折れなどがあったため、大々的な修復が行われ、今回公開にいたりました。

この作品は、箱根の岡田美術館に収蔵され、本年4月に一般公開されるそうです。
それにしても、わが国の多くの名品が諸外国に流失したのは、かえすがえすも残念です。
今回の「深川の雪」を多くの人たちに見てもらいたいと思います。