喜多川歌麿の幻の作品「深川の雪」が発見されました。
縦2m、横3.5mの浮世絵史上最大級の作品です。
この作品が発見された経緯などは、3月2日の日曜美術館アートニュースで紹介され、さらに5日のNHK歴史秘話ヒストリアという番組で、「大発見 !歌麿の最高傑作 巨大美人画に秘められた真実」でも放送されました。
私はワクワクしながら、作品を食い入るように見ました。
素晴らしい浮世絵の大作・肉筆画です。
制作されたのは、歌麿最晩年の1802年頃から、1806年と推定されています。
精密な筆使いと流れるような構成、歌麿の最高傑作と考えられています。
登場人物は27人、着物の模様、仕草、表情までかきわけられています。
作者を示す書き込みはありませんが、歌麿自筆の作品と認定されました。
現在確認されている歌麿の作品は2000図以上ありますが、ほとんどが版画です。
肉筆は40点ほどです。
この作品の最も古い記録は、明治12年の「展覧書画目録」です。
歌麿が描いた「雪月花図紙本大物 三幅対」のひとつと考えられます。
歌麿の三部作はその後フランスに渡り、「吉原の桜」と「品川の月」は今、アメリカのフリーア美術館とワズワース・アセニアムにあります。
「品川の月」
右上の月を御覧ください。
「吉原の桜」
今回見つかった「深川の雪」は、昭和23年銀座で開かれた展覧会を最後に姿を消しました。
以来、その存在はモノクロ写真でしか知られておらず、幻の作品として憶測を呼んできました。
それが2012年初め、古美術商が作品を入手し、64年ぶりに姿を表すことになったのです。
しかし、シミや虫食い、破れ、折れなどがあったため、大々的な修復が行われ、今回公開にいたりました。
この作品は、箱根の岡田美術館に収蔵され、本年4月に一般公開されるそうです。
それにしても、わが国の多くの名品が諸外国に流失したのは、かえすがえすも残念です。
今回の「深川の雪」を多くの人たちに見てもらいたいと思います。
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