フリーアナウンサー 松原敬生の『今日のエッセイ』

思っている事、感じている事などを自由に綴ります。

近くの他人

2017-03-12 23:57:28 | Weblog
中国の「韓非子」の中に〔遠水近火を救わず〕という言葉があります。遠くにある水では近くの火を消すことは出来ない。遠くにあってはいざというとき役にたちません。日本では、古くから「遠くの親戚より近くの他人」と言います。
そこで考えて見ると、この「近くの他人」という言葉は現在でも当てはまるのでしょうか。家庭の中でもテレビ一台の時代から個の時代に入り、それぞれが自分の部屋で過ごす時間が圧倒的に多くなりました。こうした時代を反映してからか、世間は「隣は何をする人ぞ」状態になっています。それだけに近くの他人もどんどん遠い他人になってしまっています。
かつて、ご飯時に自分の子供と遊んでいる子供を誘って一緒にご飯を食べない?と言ってくれたお母さんが多かったですね。もちろんお返しに今度はその友達の自宅で食事なんていう交流があったんですよ。お年寄りにしてもご近所の隠居さんが集まっての茶飲み話は頻繁でした。他人の距離を近くに保つ工夫でしたね。