フリーアナウンサー 松原敬生の『今日のエッセイ』

思っている事、感じている事などを自由に綴ります。

クモの糸

2010-09-12 22:37:00 | Weblog
芥川龍之介の短編小説に「蜘蛛の糸」があります。自分だけ自分だけという気持ちを戒める内容でしたが、そのクモの糸を使って我々を楽しませる試みが進んでいます。
クモの糸を大量に使ってバイオリンの弦を作ることに、日本の大学教授が成功しました。クモの糸を使ったバイオリンは普通の弦より、重みがあって柔らかい音色になるそうです。その他にクモの糸は柔軟性、弾力性、耐熱性にも優れていて、紫外線にも強いそうですから、まさに「夢の繊維」ですね。この教授はバイオリンの弦にする為に2年かけて1 本1メートルの糸を集め、1万本をまとめて1本の弦にしたそうです。300匹以上のクモを自宅で育てたそうですから、凄い研究意欲ですね。
「蜘蛛の糸」も糸が切れやすいことを主人公が心配したわけですが、実際のクモの糸も途中で切れやすく、20センチの長さを集めるのも難しいんだそうです。こうして見ると気の遠くなる作業だと推測するのですが、集め方は秘密だそうです。
この教授に敬意を表すのは、あのクモ300匹以上と同居して生活することですね。苦手な生き物だけに勇気があると拍手を送ります。いつかクモの糸を張った弦楽器のオーケストラを楽しみたいものですね。