フリーアナウンサー 松原敬生の『今日のエッセイ』

思っている事、感じている事などを自由に綴ります。

限界集落

2009-03-19 19:08:53 | Weblog
団地という言葉が登場したのはS31年(1956年)頃です。この言葉は「一団の土地」「一団の地域」を略した形で生まれました。それはこの年の今日、3月19日に大阪府堺市の金岡団地で日本住宅公団が1回目の入居者募集を行いました。何と建設戸数900戸に対して、約3倍の応募者がありました。それもその筈、当時としては近代的といっていい水洗トイレ、風呂、ダイニングキッチン、ベランダを取り入れた憧れの住宅だったのです。
それ以降、半世紀が過ぎました。これらの団地が今や限界集落となっています。限界集落というのは長野大学の教授が定義したもので、「65歳以上の高齢者が人口の半数を超え、冠婚葬祭など社会的共同生活の維持が困難な集落」となっています。こうした高齢者が半数以上の集落は全国で約7,800もあるそうです。
この限界集落に当時の団地も含まれてくるのです。限界集落にすすめばすすむ程、住民自治が機能されなくなってきます。コミュニティーとしての形を保てなくなる心配さえあります。地域のお祭りが運営できない、治安全般への悪影響、住民同士のコミュニケーションすらままならなくなります。
つまり生きにくくなっているのです。もう一度ここらで二世代での生活を考えてみる必要があるかもしれません。人間関係が希薄と言われているこの都会で、団地の限界集落化はますます個人が孤人になっていきます。