フリーアナウンサー 松原敬生の『今日のエッセイ』

思っている事、感じている事などを自由に綴ります。

団扇(うちわ)

2008-08-01 22:21:09 | Weblog
お金は貯まらないけど(値上げの8月)団扇は貯まる8月になりました。イベント会場や商店街では団扇がよく配られます。そしてつい・・もらってしまうのがこの団扇です。しかし冷房がきいたビルの中や自宅に持ち帰っても使い道に困ります。多分どこの家庭でも使われない団扇が2、3本ころがっているのではないでしょうか。
昔の映画で、特に日常の生活を描く事が多かった小津安二郎作品などでは来客を迎えた奥さんが話の最中、お客様に団扇をあおいで風を送っているシーンがよくみられ、日本人らしさがよく表現されていました。
私達の放送局でも歌手の宣材の団扇がゴロゴロしています。皆さんがよく知っているあの顔、この顔の団扇が出番を待っているのですが、やはり余り出番はありません。
団扇は中国から奈良時代に日本に入ってきましたが、その昔の1つの用途として顔を隠して威厳を正す道具としても使われました。(今は電車の中で化粧する位ですからセンス・・・ないですよね) 明治時代には美しい図柄の団扇が外国人に好まれ、多く輸出されています。
ところで余り使われないこの団扇の出番は、盆踊りの浴衣姿の1つの道具として好まれますから、これから一時期出番が増えそうです。
団扇の思い出としては子供の頃、隣家の魚屋さんがうなぎの蒲焼きの為に七輪の炭火を渋団扇しぶうちわであおいでいたシーンが強烈です。朱色の和紙で作られた団扇であおいで七輪でうなぎを焼く。このにおいが何ともいいですね。あおぐにも上手下手があり、これを団扇さばきというそうです。私はこうした焼き方の方が贅沢味だったという気がするんですがね・・・。