2018年3月末日、クロッカスが咲いた。「春告花」とは梅の呼称だが、クロッカスがわが家の「春告花」となった。春先に温暖な日が続いたためか、例年より7~10日早い開花である。
クロッカスは、アヤメ科(Iridaceae)、クロッカス属(Crocus)に分類される(学名Crocus L.)。秋植え球根植物で、原産地は地中海からトルコにかけての地域とされる。
晩秋に咲き、花を薬用やスパイスに使うサフラン(Crocus sativus L.)と同属であるが、早春に咲き、観賞用のみに栽培されるクロッカスを春サフラン、花サフランなどと呼んでいる。クロッカスの名前は、雄しべの先が糸のように見えることから、「糸」を意味するギリシャ語からきているのだと言う。
球根は直径4cmくらいの球茎で、花はほとんど地上すれすれのところに咲き、黄色・白・薄紫・紅紫色・白に藤色の絞りなどがある。植物学上は、クリサントゥスCrocus chrysanthusを原種とする黄色種と、ヴェルヌスC. vernusを原種とする白・紫系の品種とは別種だが、通常は同一種として扱われている。
寒さに強く、日当たりと水はけの良いところなら、植えっぱなしでもよく生育するほど丈夫と言われるが、今回開花したクロッカスも植えっぱなしのもの。周辺はまだ緑のカケラもないのに、健気に花開いている。
花言葉は、早春に花咲く姿から連想した「信頼」「青春の喜び」、ギリシャ神話に由来する「愛したことを後悔する」など。ギリシャ神話には、「美青年クロッカスは、羊飼いの娘と恋仲だったが、神々の反対にあい、悲嘆のあげく自殺してしまった。クロッカスをあわれに思った花の神フローラは、彼の亡骸をこの花に変えた」との伝説があるそうな。