敏腕Pの日々のつぶやき

テアトルシアター代表。担当舞台作品について他、演劇やスポーツ等々の雑感を気の向くままに。

ベテラン

2024年05月12日 | 身辺雑記

どんなところにもベテランはいる。

 

例えば劇団でいうと、

創立メンバーで座歴50年超の俳優。

さすがに台詞覚えは落ちたものの、

言い回しの間(ま)だったり

技は衰えず、さらには、

「旅公演二日目にミーコが倒れて、

東京からワカちゃん呼んだのが

1970年5月、長野の伊那だったな〜。

そのあと7月からロシアで『どん底』。

モスクワ、レニングラード、オムスク

回ったけれど、ミーコは行けなくて、

私がどん底よって死ぬまで言ってた」

みたいに、やたら昔のことを明確に、

何なら日付まで覚えていたりする。

 

ラテン語のvetusが語源で、

意味は「古い」「年老いた」。

接尾語anをつけたのがveteran。

英語の国では第一義が

〈退役軍人〉だそうで、我々が

ベテランに込める「経験豊富な」

にはexperienced、skilledなどを

使う、らしい。

 

 

姪が看護師なのだが、

病院にもベテランはいて、

それは先輩ナースにもだし、

ドクターもだし、ペイシェントにも。

 

はたして患者に「ベテラン」が

相応しいか戸惑いもあるけれど

 

若い看護師より余程詳しくて、

「それじゃ点滴うまくいかないよ、

基本中の基本」と、

専門知識にまで言及できて、

「お、新顔さんだね。宜しく。

ランチなら駅の反対側だけど正膳!

…って私はこんなだから、

食べちゃないけど情報整理すると

特に魚系の定食が人気だね

など界隈にも精通している、

そんな患者さんがいるそうだ。

 

4月1日付で退社届を出す、とか、

退職代行サービスが繁盛などを

見聞きする今日この頃。

それは数としては少ないだろうから、

横っちょに一度置くとしても……

勤め上げるのが当たり前ではなくなり、

働き方にも多様性のベクトル。

 

となっても、スキルアップの中で

専門の「職」は積み上がるから、

そこにもベテランは生まれる

・・・わけだけれど。

 

どんなところにもベテランはいた。

にならないことだけは、願う。

 

 

【приписка】(ロシア語の追記)

レニングラードは当時の名称で、

現在はサンクトペテルブルク。

 

また「例えば」なので話の中身も

フィクションです。あしからず。

東演に在籍された「笹爺」こと

故・笹山栄一がモデルではありません。

 

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