麒麟琳記〜敏腕Pの日々のつぶやき改題

還暦手前の身の回りのこまごま。
スポーツや映画演劇など。

山ありやまなし、大抜擢

2016年07月12日 | 制作公演関連
小林拓生主宰のJ-Theaterの
公演スタイルの特色として、
例えば今般の〈日本人作家シリーズ〉
『三好十郎+宮沢賢治』
(7/26~27、小劇場「楽園」)で
前者を小林七緒が、後者を自らが演出。
複数作品を異なる演出家でという
スタイルはこれまでも多々あった。

それを小劇場の世界では当たり前に
週の頭ないし半ばから始めて
日曜日に幕をおろすのだけれど、
週末の集客数には目もくれず、
ウイークデーの前半のみ。
加えて、一日で三本廻しという
アイドルのコンサート並みの
無茶なタイムテーブルも特色だ。

でも「多くて昼夜の二回公演、
千秋楽は日曜」なんぞと定めた法はない。

それから。
大抜擢もJ-Theater的だといえる。

役に軽重は本来ないけれども、
いわゆる大役と呼ばれるような、
あるいは主役と目されるところに
わりとアグレッシブな起用をする。

前回あたりからは更に一歩踏み込み
「やりたい役」に立候補してよし!
を取り入れ始めたほどだ。

希望が全て叶うことはないが、
にしても斬新なスタイルで、
個人的に諸手をあげて称賛はしない。
のだが、希んだ役に責任を持って挑み、
成長する姿をまざまざと見せられると、
「それ、なし」とは言い切れないな、
と思わないでもない。

抜擢に関して言えば。
配役に限らず、例えば演出助手等の
スタッフワークを振って、
それが演じ手としての伸びに繋がる
(細かくいえば、人として一皮剥け
それが芸に反映されるという)
のも、一度ならず見てきた。

少し前まで私が所属していた
某新劇系劇団も、劇団の将来を鑑み、
抜擢することは当然あった。
中長期を見据えたプランのもと、
或いは集団内のバランスも加味しつつ。

ただJ-Theaterは「劇団」ではなく
プロデュースシステムを敷いており、
乱暴にいえば育成的要素は必要ない。

ただ。あくまでも「現状の」
J-Theaterに集う出演者に若い面々
(さらに言うと、まだ勉強中の生徒)
が、数的にウエイトを占めている、
という最後のidiosyncrasyがあり、
その点から「育み」に力が入りがちだ。

と、他人事のよーに解説してみたが、
気付けば2014年の『溟い海』に始まり、
今月末でJ-Theaterの制作は
な、な、なんと9本目になる。

「な」が多い、ながおぉい、なが~い。
うむ。
気付けば長いつき合いになったものだ。

と書いておいて、今日顔を出すのは、
七緒組の『噛みついた娘』の稽古場だ。

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする