◼️「キラーズ・オブ・ザ・フラワームーン/Killers Of The Flowermoon」(2023年・アメリカ)
監督=マーチン・スコセッシ
主演=レオナルド・ディカプリオ ロバート・デ・ニーロ リリー・グラッドストーン ジェシー・プレモンス
マーチン・スコセッシ監督が描くアメリカの黒い歴史劇。「ギャング・オブ・ニューヨーク」ではアイルランド系移民とイギリス系の対立と抗争を描いた血生臭い物語だった。その映画で先に新大陸に来たから"ネイティブ"と名乗っていた白人が、先住民であるネイティブアメリカンに何をしてきたのかを描いたのが本作「キラーズ・オブ・ザ・フラワームーン」である。
オイルマネーという富を得た先住民オセージ族。白人たちはその財産から恩恵を受けようと町に集まり、そして財産を奪おうと近づいていく。部族の娘に言い寄る者が現れ、やがて相次ぐ殺人が起こる。部族の協力者として信頼を得ていたヘイル。その甥アーネスト、彼と親しくなる部族の娘モリー。連続する不可解な死に、ついにFBIが動き始める。
ヘイルを演じたロバート・デ・ニーロのしたたかな黒幕ぶり。世間的には先住民のよき理解者でありながら、合法的な手段で財産を狙う。一方で汚い仕事を町のゴロツキに依頼して、着実に事を進めていく怖さ。そのヘイルに利用される甥アーネストを演ずるのがレオナルド・ディカプリオ。汚れ仕事を依頼して、事の重大さや叔父の真の狙いがわかる立場であったのだろうが、妻の親族が一人また一人姿を消す中で、適当にはぐらかすダメ男ぶり。クライマックスで妻に投げかけられた問いに、まともに答えることもできない。叔父の言いなりであったが、妻への愛だけは別だと本人は思っていたのだろうか。しかし彼らには先住民を見下す差別的な意識が確実にあったし、白人社会全体もそうだった。KKKのやり方は気に入らないとヘイルが言う場面があるが、先住民を利用したいだけの彼だ。自分たちとは違う民族を見下していることに何の違いもない。
歴史に埋もれ、忘れ去られそうなこうした愚かな出来事。しかしこうした過去があったことを映画は語り継ぐことができる。史実と違って脚色があるのは百も承知だが、実話に基づくことを謳うだけでも大きな意義がある。
前作「アイリッシュマン」同様3時間超の大作だが、決して飽きさせることはない。むしろ配信で観たらここまで物語に没入することはできない。Apple資本で製作されてるから配信されるのは間違いないが、時間が許すなら劇場で味わって欲しい。配信のみになるところを、パラマウント社が劇場でかけるべきと主張してくれたと聞く。本当に感謝。
音楽担当は、ザ・バンドのメンバーで、2023年に亡くなったロビー・ロバートソン。スコセッシ監督がザ・バンドのドキュメンタリー映画を撮り、長く続く縁ある人物だ。またロビー・ロバートソン自身はカナダ人とインディアンの混血であることを明かしており、先住民の伝統音楽を伝承することにも努めていた。本作ではその手腕も発揮されている。
オイルマネーという富を得た先住民オセージ族。白人たちはその財産から恩恵を受けようと町に集まり、そして財産を奪おうと近づいていく。部族の娘に言い寄る者が現れ、やがて相次ぐ殺人が起こる。部族の協力者として信頼を得ていたヘイル。その甥アーネスト、彼と親しくなる部族の娘モリー。連続する不可解な死に、ついにFBIが動き始める。
ヘイルを演じたロバート・デ・ニーロのしたたかな黒幕ぶり。世間的には先住民のよき理解者でありながら、合法的な手段で財産を狙う。一方で汚い仕事を町のゴロツキに依頼して、着実に事を進めていく怖さ。そのヘイルに利用される甥アーネストを演ずるのがレオナルド・ディカプリオ。汚れ仕事を依頼して、事の重大さや叔父の真の狙いがわかる立場であったのだろうが、妻の親族が一人また一人姿を消す中で、適当にはぐらかすダメ男ぶり。クライマックスで妻に投げかけられた問いに、まともに答えることもできない。叔父の言いなりであったが、妻への愛だけは別だと本人は思っていたのだろうか。しかし彼らには先住民を見下す差別的な意識が確実にあったし、白人社会全体もそうだった。KKKのやり方は気に入らないとヘイルが言う場面があるが、先住民を利用したいだけの彼だ。自分たちとは違う民族を見下していることに何の違いもない。
歴史に埋もれ、忘れ去られそうなこうした愚かな出来事。しかしこうした過去があったことを映画は語り継ぐことができる。史実と違って脚色があるのは百も承知だが、実話に基づくことを謳うだけでも大きな意義がある。
前作「アイリッシュマン」同様3時間超の大作だが、決して飽きさせることはない。むしろ配信で観たらここまで物語に没入することはできない。Apple資本で製作されてるから配信されるのは間違いないが、時間が許すなら劇場で味わって欲しい。配信のみになるところを、パラマウント社が劇場でかけるべきと主張してくれたと聞く。本当に感謝。
音楽担当は、ザ・バンドのメンバーで、2023年に亡くなったロビー・ロバートソン。スコセッシ監督がザ・バンドのドキュメンタリー映画を撮り、長く続く縁ある人物だ。またロビー・ロバートソン自身はカナダ人とインディアンの混血であることを明かしており、先住民の伝統音楽を伝承することにも努めていた。本作ではその手腕も発揮されている。