Some Like It Hot

お熱いのがお好きな映画ファンtakのつぶやき。
キネマ旬報社主催映画検定2級合格。

沈黙の艦隊

2023-10-07 | 映画(た行)

◾️「沈黙の艦隊/The Silent Service」(2023年・日本)

監督=吉野耕平
主演=大沢たかお 玉木宏 ユースケ・サンタマリア 中村倫也 江口洋介

コミック原作ものは実写映画化が難しい。観る側にはビジュアル面である配役にもストーリー運びにも、原作の固定されたイメージがつきまとう。新規エピソードや独自のキャラクターを追加すれば、映画独自の試みを称されもするし、原作へのリスペクトがないと騒がれもする。一方で撮る側には、原作の絵がイメージとして付きまとうからショットが固定されたり、制約を受けたり。周知のこととして説明的な部分を省いてしまったり、原作愛が空回りしてしまったり。比べるものが明確だから、批判したい向きには格好の材料になる。人気作ほど難しい。

この原作が世の中で騒がれた頃を知ってる世代なら、なおさら思い入れがあるだろう。国会で話題になったこともあったよね。僕もその一人だ。だからどうしてもキャスティングから興味を持ってしまう。首相を演ずる笹野高史。これまた弱々しいキャラクターになっている。この後の大決断をする場面とかどうなっちゃうんだろ…😥。橋爪功演ずる参与のモゴモゴした喋りに字幕が欲しくなる。女性乗組員や大臣を配置してアップデートされているけれど、2023年目線だと、この事態に反応を示すのはアメリカだけではないだろう?とも考えてしまう。

そこは原作をリスペクトする撮る側の人々が信念を貫いた印象だ。この作品に触れることは、日本の国際的な立ち位置や国防のあり方について考える契機になるに違いない。原作はエンタメ要素とシリアスな政治的要素をバランスよく理詰めに描いている好例。原作を知らない若い世代にこそ観て欲しい。また、世の中会議で動いているんだ、と「シン・ゴジラ」級に思い知らせる話でもある。

緊張感が途切れず、没入感がある作風。聴覚に頼る操艦のスリリングさと、潜水艦の動きがいい配分で描かれるから、海江田艦長の操艦技術の高さをビジュアルで見せつけ、深町艦長が付け加えるひと言がいい解説になっている。こうした見せ方のうまさが光る。戦闘シーンを第一艦橋のシーンで終わらせた、悪しき宇宙戦艦の実写版とは天と地の差だ。暗くスピード感か希薄になりがちな海中シーンも、頑張っている印象。

それにしても。悲しいかな、原作が世に出てウン十年経つのに、現実世界では核をめぐる議論が当時とさほど変わっていない。そして本作の続編があるならば、"専守防衛"の現実が描かれることになる。どんな描写になるのか今から興味をそそられる。

大沢たかおが、一回くらい「フフフフッ♡」と王騎将軍みたいに笑わないかなと期待してしまった私💧Adoが歌うB'z作の主題歌よき。




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