読書日記

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日本は財政危機ではない! 高橋洋一 講談社

2009-01-15 20:27:07 | Weblog

日本は財政危機ではない! 高橋洋一 講談社



 著者は元財務省官僚で、現在東洋大学教授。小泉首相の下で構造改革を進めた竹中平蔵氏のブレーンである。規制緩和が小泉政権の売りで、郵政民営化を断行したことで小泉首相は歴史に名を残すことになったが、麻生首相になってから改革のスピードはがくんと落ちた。本書はそれにたいする苛立ちが顕著に出ている。竹中氏と同じスタンスである。今改革を続行しないでどうするというのが基本で、財務省、日銀に対する強烈な批判が展開されている。麻生政権に対するルサンチマンだ。曰く、財務省は腐敗している。曰く、日銀総裁の白川氏は経済学がわかっていない等々。白川氏は京大大学院教授から総裁に就任した日銀マンで、彼をそのように批判できる高橋氏は一体何様なのだろうか。元内閣参事官まで行ったのに東洋大にしか拾われなかったという悔しさなのか?
 竹中氏や高橋氏はいわゆる「グローバル資本主義」(米国型金融資本主義)を日本に持ち込んで、アメリカ型の市場原理を普及させたが、今それが格差と貧困を生み出しているとして大いなる批判が沸き起こっている。アメリカ留学経験のあるエリートがアメリカかぶれになって帰国し、あらゆる経済活動を市場にゆだねることが、幸福な社会を作るという信念に基づいて、構造改革の旗振りをしたわけだ。
 しかし、この先駆者と言われた中谷巌氏(一橋大出身で竹中氏の先輩)は「週刊朝日」1月23日号で、あの「改革」が日本を不幸にしたと懺悔の告白をしている。今頃反省してどうするんだいと言いたいが、反省するだけまだ良心的と言える。竹中氏や高橋氏は依然として改革が中途半端だといきまいているが、彼らの手法は客観的に見て、功罪の「罪」の方が大きかったと思われる。ところがアンチ小泉の、麻生現政権も支持率20%を切って迷走している。この状況を見るにつけ、この国の行く末に大いなる危惧を覚える。折りしも本日1月15日発売の「週刊新潮」で麻生総理の刎頚の友、鴻池官房副長官が議員宿舎に既婚女性を宿泊させているというスクープが出た。この御仁68歳の由。政治家はほんとに元気だと感心した。閑話休題。多分麻生内閣はこの男によって引導を渡されることになるだろう。漫画しか読まない総理大臣に女漁りの官房副長官。日本の将来は暗い。政治家とはインテリジェンスの欠落した人間のことか。責任者出て来い!