読書日記

いろいろな本のレビュー

朝鮮総連 朴斗鎮 中公新書ラクレ

2008-11-23 10:42:33 | Weblog
 著者は在日朝鮮人で、もと朝鮮総連の活動家である。朝鮮総連関係の本は多いが、内部のしかも末端の地道な活動家の目から見た批判であるがゆえに説得力がある。朴氏は朝鮮大学校出身で、その後そこの教員をしていたこともあり、総連傘下の朝鮮学校の実態を暴いている。
 そこで展開されていたのは民族教育とは名ばかりの、金日成、金正日を神格化する教育で、朝鮮労働党の下部組織そのものであった。私もテレビで朝鮮学校のレポートを見たことがあるが、教室には二人の大きな肖像がが掲げられており、まさに「御真影」という感じであった。生徒は首領さまのお陰で無事日々を暮らしているというような発言をしていた。これは総連がいろんな問題を起こす前のことであるが、それを見た私は大いに違和感を持った。朝鮮学校は各種学校で、日本の大学を受けるためには大学入試検定試験の合格しなければならなかったが、その後朝鮮高校卒の資格で受験可能になった。これは人権団体の圧力があったと思われるが、人権弾圧国家の独裁者を賛美する教育をしている学校の生徒をハードル無しに受験させるのはどうかとその時思ったものだ。
多分、北朝鮮と日本政府自民党との間で裏取引があったに違いない。
 本書を読むと、案の定、日本の北朝鮮派の人権団体の欺瞞を痛烈に批判しており、自分の直感は正しかったと安堵している。日本の公立学校、特に大阪府に於いては、在日朝鮮人問題学習はそのような総連傘下の団体のペースで行われていた事は確実で、特に旧社会党の役割は大きくその責任も大である。今はその社会党も消滅したが、消滅する理由があったのだろう。朝鮮総連は北朝鮮のミニチュアであり、どちらも独裁・人権抑圧という部分で共通している。せめて総連だけでも民主化、風通しを良くして本国の非を諌めるくらいでないと共倒れになることは必定。