忘却への扉

 日記? 気づいたこと 何気ないひとこま 明日への伝言 願い 子供たちに 孫たちに そしてあなたに・・ 

声が出せずに

2006-03-17 | 日々
 病院の売店の前にいる時、通路の向こうから車椅子で知人がこちらに来る。退院してから初めて顔を見た。診察の後、リハビリを受けるためだろうか。
 そばにいる奥さんはわかるが、車椅子を押している人もその後ろの人たちも知らない人だ。誰もこちらに気付かず、通り過ぎる。
 私も声をかけられなかった。奥さんが横の人と話をしていたのと、車椅子の知人の少し上に向けたはっきりしない視線に、呼び掛けることを躊躇してしまった。
 なぜ話をしなかったかと申し訳なく、いまでも苦になる。あの場合知らない風をするのも彼のため、とも思ったのだ。見られたくない姿もあるかもしれない。
 笑いの大好きな彼だった。笑えない感情と環境の長さがいつまでのものか気になるが、今度会ったら声を掛けようと待っている。