病院の売店の前にいる時、通路の向こうから車椅子で知人がこちらに来る。退院してから初めて顔を見た。診察の後、リハビリを受けるためだろうか。
そばにいる奥さんはわかるが、車椅子を押している人もその後ろの人たちも知らない人だ。誰もこちらに気付かず、通り過ぎる。
私も声をかけられなかった。奥さんが横の人と話をしていたのと、車椅子の知人の少し上に向けたはっきりしない視線に、呼び掛けることを躊躇してしまった。
なぜ話をしなかったかと申し訳なく、いまでも苦になる。あの場合知らない風をするのも彼のため、とも思ったのだ。見られたくない姿もあるかもしれない。
笑いの大好きな彼だった。笑えない感情と環境の長さがいつまでのものか気になるが、今度会ったら声を掛けようと待っている。
そばにいる奥さんはわかるが、車椅子を押している人もその後ろの人たちも知らない人だ。誰もこちらに気付かず、通り過ぎる。
私も声をかけられなかった。奥さんが横の人と話をしていたのと、車椅子の知人の少し上に向けたはっきりしない視線に、呼び掛けることを躊躇してしまった。
なぜ話をしなかったかと申し訳なく、いまでも苦になる。あの場合知らない風をするのも彼のため、とも思ったのだ。見られたくない姿もあるかもしれない。
笑いの大好きな彼だった。笑えない感情と環境の長さがいつまでのものか気になるが、今度会ったら声を掛けようと待っている。