忘却への扉

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四本のトンネル

2006-03-27 | 追憶
 街に行くのに、舗装されていない道路や細く危険な道を歩くのが当然だと思っていた頃。街に着くまで自動車を見ないことが何度もあるほど、自動車が少なかった。
 一本目のトンネルが開通しても歩きながら上の道から、下の新しい道路の様子を眺めていた。しばらくしても、たまにバスでトンネルを抜ける程度の利用だけ。
 自転車で通るのは高校生になってから、自動車は免許を取り家に中古車が来てからのこと。そのトンネルの隣にもう一本追加されたのはずいぶんと経ってからだ。
 その状態が長く続き通行量も増していった。そして離れた場所に大きなトンネルが二本造られ、便利になった。
 安心と速さはプラスしても、個人として利用するのは、片道一ヶ所あればよい。帰りに別のトンネルを通っても二ヶ所で足りる。
 街にとって増えるトンネルが、出口専用になる空想なんて冗談にもならない。穴が空き痩せていく街がある。
 トンネルが一本しか無かったあの頃は、いつでも街への入口気分だった。四本目もできたこれからは、よその人たちのやって来る入り口となれるのか。