クルマのサスペンションと長いお付き合い

サスペンションの話、試乗記、旅の話、諸々・・・。

ロータスエリーゼのサスペンションセッティング その12

2016-02-25 22:49:46 | ガレージレポート(オリジナルボックス)
タイヤ荷重

サスペンションセッティングは何を基準に考えていけばいいのでしょうかというお話。

ドライバーは、タイヤグリップを意識しながらクルマを走らせています。

例えば、コーナーに差し掛かる前に速度を落とすのは、タイヤグリップの範囲を超えないためです。

減速Gが発生すると荷重が前方に偏ります、荷重はフロントに集中し、リヤタイヤ荷重は軽くなります。

しかしこの時ドライバーは速度を落とそうとしただけで、前荷重にしようとしてブレーキを掛けるわけではありません。

同じようにハンドルを切れば、横Gが発生して、旋回外側のタイヤ荷重が増えます。

進路をコントロールしてタイヤ荷重が変動するのもドライバーの意思ではありません。

この前後左右Gについて回る荷重移動がそのままタイヤ荷重の変動につながっています。

ということはタイヤグリップの大きさと連動しているとも言えます。

そこで出てくるのが、タイヤを潰して走るとか、後荷重にするにはアクセルを入れて云々・・・ドライビングテクニック話に出てきそうですが、
先にタイヤ荷重を考えて運転できるかといえば否です、あくまで「荷重移動」は運転操作に連動してついてくるものです。
(タイヤ荷重を意識しながら走らせることに異論はありませんが)

ドライバーの操作と、タイヤ荷重の変動が、タイミングも含めて想定範囲なら問題は起きないのですが、
「ドライバーの操作を超える荷重移動とか」「荷重が増えるのを想定しているのに増えないとか」
「荷重移動のタイミングがつかめない場合に」に運転のしづらさを感じたり、問題が起きたりするのです。

その荷重移動の様子を、タイヤの気持ちになって考えると、サスペンションセッティングが見えてきます。

柔らかいバネを選択すると、乗り心地がよくなるのは、荷重移動が穏やかだからです。
硬いバネにすると、少ないたわみ量で大きな荷重変動を生じます、わずかな凸凹でもタイヤ荷重が大きく変わるので乗り心地に悪影響が出るのです。

ーーーーここまでは一般的な話。

アンダーステアーの強いクルマを見る時は?

オーバーステアーの起きる理由は?

その時の様子をスローモーションか、ストップモーションにして『タイヤ荷重』に着目します。

荷重変動に変曲点はないか?
バンプタッチのタイミングは?
その時のアーム角は?
ダンパーストロークは?
(伸びきるとタイヤ荷重の変曲になります)
スタビライザーの前後バランスは?
(スタビライザーの硬い側のタイヤ荷重が急激に増えるので、グリップタイミングが早まります)

タイヤ荷重はバネのたわみ量と連動しているので、そこから想像することもできます。

急激な荷重変動(してもしなくても)がグリップを失ったり、車両アクションのキッカケになります。

全てはその時のタイヤ荷重がどうなっているか。
かなり難しい物理現象の解析かも知れません。


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5 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
書き込みありがとうございます (くにまさ)
2016-03-02 23:57:07
クルマがお喋りだったら面白いことがいっぱい起きるでしょうね~
ひとまず夜逃げされないようにしましょう。

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うわっ! (おおくぼ)
2016-03-02 21:13:28
我が家のレガシィ6、先日13年目の車検を済ませたのですが、言いたいこと一杯ありそうで、申し訳ない限りです。國政さんのサスペンション解説、愛車に翻訳して貰いながら((^_^;))、必死に理解しようと頑張っています。よろしくお願いします。
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Unknown (ポール)
2016-02-29 09:58:15
「クルマが喋ったらどんなにラクか………でもないか。先に運転を愚痴られるかも。」

国政さんがおっしゃると沁みます(笑)
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書き込みありがとうございます (くにまさ)
2016-02-27 07:50:27
ついでにこの先も解説してください………


運転の「しづらさ」は、カタチとか数値で見えないだけに厄介ですね。

しかも本人が思っている、その「しずらさ」度合いを他の人が共有できるか、ここも問題です。

受け手が気がつかなければ手の入れようがありませんからね~

じゃあわかったら簡単かといえば、簡単にいかないのが普通です。

運転の「しずらさ」はクルマが話しかけてきているんだと考えて、誰かが翻訳する。

それをサスペンションに落とし込む。
サスペンションセッティングとはこんな感じでしょうか。

クルマが喋ったらどんなにラクか………でもないか。
先に運転を愚痴られるかも。

そろそろスタビライザができあがってくる頃です。



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運転のしづらさとアーム角 (たむら)
2016-02-27 00:21:37
運転のしづらさ、とても心当たりがあります(^^
漠然と感じていたことですが、ブログで取り上げて頂いたことも有りだいぶハッキリしてきました。

このエリーゼ、軽さと角のある硬さ(伸び代不足)が影響して、Gの立ち上がりが速い割には収束が遅く、そこに違和感を大きく感じていたのかなと。

またNDロードスター乗った際は、フロントは想定よりも動き過ぎ、リアが想定よりも動かないように感じたり。

その点、ウチのRX-8はおかげ様で車体の動きにはまったく違和感なく感じるものの、
パワステ無しのエリーゼとは真逆のステアリングフィーリングで不自然に重いところと軽いところが反転していてイマイチ、アクセルブレーキも踏み始めが神経質で、、、
なかなかちょうどいい塩梅難しいですね(^^;


それとアーム角の作用が理解難しかったのですが、一つ大きなポイント見落としていたことに気づきました。
遠心力はロール運動でバネダンパーのみに作用するように思い込んでましたが、実際は、タイヤと路面の摩擦による反力とともに、バネダンパーのみならずアームやリンクも押していて、そこに上向きか下向きがあるんですね。
車体からアームを押す力が下方向、下反角なら遠心力がタイヤを路面に押し付ける方向に働く、その遠心力の作用が理解できてませんでした。

しかもそれが、サスペンション構造によって幾何学的で、その上、外輪内輪とフロントリアと動的に動き、考えるほどに混乱してきました(苦笑
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