クルマのサスペンションと長いお付き合い

サスペンションの話、試乗記、旅の話、諸々・・・。

ポロGTIの場合 その5

2017-10-16 13:01:02 | ガレージレポート(オリジナルボックス)
VWポロのフロントサスペンションを見ると、ストラットにタイヤが一番接近するあたりに凹み加工がしてあります。

大半のクルマは丸パイプのままなので、VWだけに見られる加工かもしれません。

タイヤに接触しないように必要なスキマを取ってストラットを配置すれば自動的にトップマウントの位置が決まり、
その位置がキングピンの上端になるので、内側に寝た転舵軸になるのが一般的です。
ストラット本体の傾きとは符合しないので分かりずらいのですが実はかなり寝ています。

ストラットの一部を凹ませてまでもタイヤに近づけるのは、トップマウントの位置を僅かでも外側に置いて「転舵軸」を立てたいのではないかと⋯⋯おそらく。

転舵軸の傾きが大きい場合何が考えられるか⋯⋯転舵軸周りの重量物のアンバランスが大きくなっていきます。
マスオフセットと説明されることもあります。

クルマの正面から、タイヤ、ストラットをシルエットで見ます。
その中にトップマウントとロワーアームボールジョイントを結んだ線(転舵軸)を地面まで引きます。

この時、転舵軸の外側と内側の影の大きさを比べると外側の面積が内側に比べ広い事が分かります。
つまり転舵軸の外側が重く内側は軽いということです。

これで何が起きるかというと、真ん中ではなく端っこに串が刺さっている団子をクルクル回すと串がブレるように、
路面からの入力を受けるとタイヤが転舵軸を揺さぶるので、ハンドルの手応え、乗り心地、質感に影響が出ます。

参考例として・・スバルff-1の転舵軸はタイヤの真上から串刺したようなセンターピボット方式(マスオフセットほぼゼロ)
ストラット方式とは一味違うスッキリとした手応えを「生ハンドル」を通して感じられることと、タイヤの回転が静かなことに感激します。

そこにこだわっている証がストラットの凹みのように見えるのですが、果たしてその効果のほどは?

続く⋯⋯