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クルマのサスペンションと長いお付き合い

サスペンションの話、試乗記、旅の話、諸々・・・。

MFi サスペンションオブザイヤー

2012-12-16 22:16:38 | 試乗レポート

MFi誌の今月号、サスペンション特集見ていただいたでしょうか。
サスペンションオブザイヤーということで、たくさんの車を試乗しました。
記事で紹介されているものは、乗り貯めたものも含めてだったのですが
例の一日9台の試乗は、チョイ乗りインプレッションに近い大忙しのそれでした。
サスペンションの仕上がりをメインに、その走りと印象をポイント付けしたものですが
これって他の自動車雑誌に書かれているものと違ってない!?的なことになっているかも知れません。 


新型車の内容がしっかりと書かれたパンフレットがあって、
車名もメーカー名もわかって 評価を出す先生方と違って
日頃の私の仕事は、残念なことにバッヂの無いあやしい実験車。
今起きていることを評価する仕事で、先入観もパンフレットも役に立ちません。

同じように今回のサスペンションの評価は、いつもの仕事のように直球で
サクサクッと ポイント付けしてみました。
参考にしていただければ、と思います。 

 


試乗メモ その5 新型フォレスターAWD

2012-12-13 14:23:12 | 試乗レポート

シャシーの補強に力を入れたとか。
これには強度不足を補うための補強と、更なる質感向上のための補強と
2通り考えられるが、話を聞いていると後者のようだ。
シャシーの強化は必ず走りに反映されるから大歓迎だ。
良いサスペンションは良いシャシーに宿り、良い走りの元は全て良いシャシーから始まる・・・。
で、その走りはといえば、良路でのシッカリ感、落ち着きはかなり向上。
目地の通過などのキツイ入力もナカナカの実力、車体ブル感の収束良し、狙い通りか。
見えないところに力を注ぐことで質感向上!
NAエンジンの扱い勝手が良くなって山道も楽々走る。
アクセルレスポンスも申し分なし。
更に燃費の向上もあって、おすすめ度up!
X-MODEのAWDコントロールも実に良くできている。
国産車の中で見ればもう、申し分ない出来と言えよう。
走りの質感も明らかな向上が見られるが、こうなったらこの先を見てみたい気がする。
ここで留まるのか、更に更に進んで欧州車のそれに近づくのか。
皆さんもぜひ試乗を!


試乗メモ その4

2012-12-06 12:01:46 | 試乗レポート

ホンダCR-Z

重量バランスもよく、コンパクトなボデーサイズからサーキットの中の取り回しは良い。
しかし、その気になってタイヤを使い切るスピードでコーナーに入ると
スタビリティーコントロールのランプがつき、スロットルレスポンスが失われる。
車両姿勢は外見上落ち着いているが、運転手からすると手も足もでない状態のまま
コーナーを抜け、ハンドルを戻すと車が我に帰る。
一般道に出るとボコンボコンと、きれいに見えるアスファルト路でさえドラミング音が聞こえる(かなりな音)。
同時にタテの揺れもともなう。
車両全体が小さく身震いしているように思えるから、ボデー剛性か。
サスペンションの仕上げもボデーがその仕上がりを決定付けている印象。

 

レクサスGS350F-SPORT

サーキットに持ち込むとメリハリのないナヨ~っとしたロール感と腰のない旋廻姿勢から
タイヤのグリップ感が掴めないまま次のコーナーへ。
エンジンブレーキが効かずタコメーターの針がアイドリング近辺までスコンと下がるのには笑った。
コーナーに入るたびにMT車でクラッチを切ったままにするのと同じだ。
駆動力(プラスもマイナスも)が失われると、急激に車がユラユラと不安定になる。
速度管理があいまいだから、狙った身の置き場所に車が向かっていかない。
仕方なくブレーキペダルに足を乗せてハンドル修正を加える。
こうなったらライントレースもGコントロールもメチャメチャ。
一般道に出ると、ベッドから起き上がった直後のボーッとした頭で乗っているような乗り心地。
動きの輪郭がボヤけていて、手応え、操作感も関連付けが無い。
そしてこの車の試乗の前の6台では気付かなかった道路にワダチがあることを知る事となった。
横Gが出るのと、修正舵もあいまいで、揺さぶられるまま。
この車もドラミング音が聞こえたこの日の2台の内の1台。
オプション入れて800万!

 

VW up

シングルクラッチのMTオートマでサーキットに持ち込み全開走行するとどうなるか。
おまかせモードで、ゆるい上りの途中でシフトupが入るとMT初心者のまずいクラッチ操作の
助手席の気分。
駆動切れも長く感じるが、他人の運転のように間合いが取れないからシフトのたびに不快。
シフトレバーをマニュアル操作しても、仕込まれた機械のリズムは変わらず。
シフト操作そのものを奪われた気分、いただけない。
軽い仕上がりのボデー重量を聞くと、しっかり感は?と心配。
この車に限って大丈夫、とは言えないまでも一般道を走らせていてボデー剛性が不足していると
感じる瞬間は少ない。
サスペンションの仕上げはシボレーの次に良い印象の出来。
OKレベルの上の方だ。
視界もよく、取り回しに不満は無いが、MT車は無いの?と言いたい1台。


試乗メモ その3

2012-12-05 12:49:12 | 試乗レポート

三菱ミラージュ

目方が軽い。
動きも軽快。
サーキットの中では一番気楽に走れた。
アクセル全開時の音はF1エンジン並みの“燃焼音”。
CVTの味付けはサーキット全開走行も一般道の流れに乗る時も不満なし。
カメラマンから「こわいくらいこの車ロールしてるよ」と言われるほど
Frスタビライザーの無いミラージュ(この日お借りした車両)はロールが大きい、ここが残念。
サスペンションの味付けも手抜きなし。
特別な仕上がりではないが、とても感じよくチューニングされている。
この日の試乗車の中にあって、唯一手を入れてみたいと思ったのがこの車。
Frスタビを付けるのとCVTをMTにしてみたい。
CVTには不満は無いが重量がハンパじゃなく重い。
軽いMTミッションがあればトータルの走りが更に軽快なものになる、ハズだ。
そしてミラージュで秀逸なのが3気筒エンジンの振動と音(ボデー共振)の処理。
見事。
おすすめ度の高い車の一つだ。

 

BMW328i

車両重量とタイヤサイズからしてサーキットを楽々走れる車ではない。
直線を少し速めに走らせるに適した高速ツアラーか。
あいまいなセンターフィールのステアリングは、まったく好きなれない上にうまく走らせられない。
手応えと動き、ハンドルに求める外部情報がどれもチグハグ。
新技術ウンヌンもマイナス面の下にかくれてしまっている印象。
素の走りの良さがあまり感じられない“装飾品”だらけの車。
何も考えなくても車が真っすぐに走っていた頃のBMWの面影無し。




試乗メモ その2

2012-12-04 15:58:09 | 試乗レポート

シボレーソニック

サーキットの中では0.6G越えあたりでリヤが落ち着き
その先はわかり易いアンダーステアー姿勢になる。
FFらしいしつけでリヤの管理不要。
一般道の乗り心地良。
動車高のしつけ、チューニングがうまい。
ダンパーメーカーが気になる(チェックしたが不明)。
この味が出せるのは、あのメーカーのものか。
操作系も特に気になる点はなく、まとめ良。
けっこうおすすめの車、参考にできる乗り心地。
私の中ではサスペンションの仕上げ高得点!

 

プジョー208

サーキットの中でも一般道でも、ややロールの深さが気になるが
わかり易いロールで操作もカンタン。
タテの乗り心地の収束が良く、快適。
ゴム感あって上質な硬さ(しっかり感)。
車体の板厚が厚そうなイメージ。
室内の空気感も落ち着いている。
決して静かではないが、気になる音、嫌な音は少ない気がする。
少ない労力(気遣いも少ない)で運転を意識しながら走らせられる車。
やはり、全体が一定の約束の中に収まっている。


試乗メモ その1

2012-12-03 13:28:57 | 試乗レポート

ポルシェ911カレラ

ボデーフルモデルチェンジ。
乗り心地改善された。
前後にバラバラのサスペンションが組み合わさっていた印象から、
一体感のある揺れ方に近づいてきた。
カーボンブレーキはHOTZONEに入ったら強烈に効くから、
踏力コントロールはできそうに無い。
ABS頼みか。
ステアリングがEPSになり“道具感”が無くなった。
グリップの際が不明瞭。
インに付けずアウトに寄れない危うい車。

 

ベンツSL350

エアーサスのおかげか乗り心地はおっとり。
ステアーし始めが、やたら敏感に反応。
ヨースタート、ロールスターがハンドルの手応えなしに動き始める。
サーキットの中では、ややロールは大きいが、旋回姿勢の据わりが良く不安はない。
大きく重いボデーだが車の持つリズム感は掴みやすく、
少しの慣れと気遣いでうまく走らせられる。 


マクラーレン MP4-12C 試乗

2012-11-30 13:37:44 | 試乗レポート

袖ヶ浦フォレストでの9台の試乗車とは別にもう一台、マクラーレンMP4-12Cがあった。
他の予約が入っていたらしくサーキット走行はならなかったが、日を置いての試乗となった。
前日も晴天、試乗の次の日も晴天だったのにその日の都内は雨、うらめしい!
神経質なところはどこもないですから大丈夫ですよ、とスタッフの人に声を掛けられて試乗に出発、
の前に乗り込んでコクピットドリル。

             
興味はもちろんサスペンション。それとカーボンシャシー。
バネ下の振動あるいはバネ上と言われる車体振動を減衰させるショックアブソーバーと、
車体を支えるスプリングとで構成されている従来からのサスペンションに対してロールとピッチ制御を
主として考えられたプロアクティブシャシーコントロールと呼ばれるサスペンション(マクラーレンの呼称)。
硬い足がスポーツカー?速く走る為には足を硬めるのが常套手段、などと思っていると、
今回の乗り味は想像すら出来ない。

             
左右のサスペンションを結んで車体の傾きをコントロールする金属のスタビライザーはリヤのみ。
アスファルトの荒れたところを走らせても減衰の極端に低いダンパーをつけているかのように
路面からの入力をシナシナと逃がし、突っ張ったような印象がまるでない。
タイヤのゴツゴツと一緒に体で感じるハズのタテGがとてもやさしい。
それでいてハンドルを切って旋回姿勢を確かめると、見た目まったくのノンロール。
操舵速度を速めて横Gを強く立ち上げても、まったく沈み込む様子がない。
素早くハンドルを戻しても車体のグラツキは皆無に近い。
従来の車が強い横Gを受けている時の外輪側は縮み方向のストロークの終わり付近にあり
リジットサスペンションに限りなく近い。
旋回中に凸を通過すると急激なタイヤの接地荷重変動が起きて、走行ラインにズレが生じやすい。
マクラーレンの場合、ノンロールとイメージすればサスペンションの伸び縮みのストローク寸法の
バランスが変わらずに待機していながら、コーナリングしている訳だから、凸の乗り上げも吸収でき
タイヤの接地荷重変動をおだやかにできる。
つまり接地が安定していると想像できる。
他のスーパーカーと同じく低い車両姿勢からみて、サスペンションストロークは似たような機械寸法と
思われるが、有効なストロークを維持し続けられる点でまったく別物と考える事ができる。
軟体動物のように地面を捕らえ、ブルッともしない強固で軽量な車体のこの乗り物は
速度の管理のみDrに要求し、後は全て俺にまかせろ、と車が言ってくれている気がする。
サスペンションのアイデアは数十年来のもので、目新しいものではないが、
現代のカーボンシャシー、電子制御技術などと組み合わせた結果、より完成度が高まったと言える。
その中でもっとも寄与しているのはカーボンシャシー。
サスペンションだけを真似ても“やわ”なシャシーでは、おそらくうまくいかないと推測する。
よいサスペンションは、よいシャシーに宿る・・・だ。


試乗日記

2012-11-28 16:49:55 | 試乗レポート

袖ヶ浦フォレストでの取材の内容はMFi誌本誌を読んでいただくとして・・・。

その日9台の試乗車が用意されていたので
・サーキットの中を9回
・一般道に出て試乗するのを9回
計18回のとっかえひっかえをやったから、それはあわただしかった。
更にそれぞれの車の毛色の違いも手伝って、乗り込んでスタートさせるまでがまるでクイズ。
右ハンドル、左ハンドル、ウィンカーレバーも右側左側があり、
エンジンスタートもプッシュボタンあり、キーあり、
サイドブレーキも色々で、リリースの方向がわからない。
シートポジションを合わせるのは?
ピットアウトの合図でワイパーを動かしたり、エアコンのSWがわからず汗々。
正直、冷静なインプレッションとは言い難い。
しかもサーキット路面がキレイだから、どの車も快適。
従って少し落ち着いて走らすことのできた一般道路での印象が評価になっている。
それぞれの車は横比較の必要のない車だが、一気乗りをすれば否応なく気が付くことがある。
こわくて口にできないが、オヤオヤであったり、ヤッパリであったりと、
普段絶対評価の端っこの方で気になっていたことが、ピッとアンダーラインを引くように
明確になってしまった、という話は本誌には多分出てきません。
皆さんが勝手に想像してください。


787

2012-10-08 09:54:06 | 試乗レポート

タラップが外れていったん後ろに下がり、キーンとエンジンが聞こえて機体が動き始めると、
コンクリートのデコボコがガタピシと伝わってくる。音も振動もなまっていない。
ハイドリロリックサスペンションの特徴であるダイレクトな硬さが、
タイヤが路面を捉えている様子を、わかりやすく伝えてくる。
おお~既に何かキャビンの中の空気が違うぞ~、ドドォ~ンユッサユッサじゃなく、ガタンガタンブルン。
かなり長い道のりのタクシー走行のあと、一旦停止、揺り返しが無い!
いや一旦停止しなかったのかもしれない。
ギクシャクした前後Gを感じないままエンジン音が高まり、速度がまして行く。
ガオォ~の加速かというと、キーンのまま、力んでいない。
で私の特技というほどのものでもないのですが、何百回と乗っているうちに、
加速して、程よい速度からグイと機首を持ち上げるタイミングが表を見ていても、下を向いていても、
プラスマイナス二~三秒の誤差で当てられる(気がしているだけかもしれません)のが、
予想のだいぶ前にフワリときた。
それもいきなりグイではなく実に穏やかに地面からの距離を広げて行く。
機体の角度も少なめ、引力に逆らってフルパワーで上昇している感じがしない。
勢いをつけてから浮き上がるというよりも、浮き上がってから速度を増しつつ上昇するかんじだ。
暫く上昇したあと右旋回。
右の窓際の席から見下ろすと、羽田空港が見える、それもほぼ真下に見える!ではないか。
東京湾に向かって飛び立ち、旋回して先ほど飛び立った滑走路が見える?!
うんっ?これはどういうことだ、あまり経験がないぞ、とか考えているうちにドンドン高度が上がり雲の上に。
それにしてもキャビンの快適なこと、エアコンの音もやたら静か。
いつ水平飛行に入ったのやら。
気流の乱れたところの受け身も、従来の機体なら翼がたわみ切ってから、縦Gがピークになり、
少しその反動のマイナスGが出たところでやっともとの姿勢になるはずが、
縦揺れの振動が早く、どどっ、ぱっ、と収束も早い。
あと○○分で到着予定ですとアナウンスがあってからも、下降している感じがしないのに、
高速道路を走る車がやたら大きく見えたと思ったら、すぐに滑走路脇の誘導ランプが見え、フワリと着地。
大きく重い機体がドシーンのそれとはまるで違う、ホッホ~だ。
途中ビューンとか、ブーンといった振動数高めの従来機では余り耳にしない音が聞こえたのが気になるが、
なんせ快適、頭が重くならないのはありがたい。