ハワイの男性ポップスシンガーによる2ndアルバム。Bee Bee Recordsなる聞いたことないレーベルからリリースされていますが、規格番号をみる限りおそらく自主製作盤かと思われます。正直これだけだと食指が動かないのですが、裏ジャケを見るとProduced by Brian Robertshawの文字。ピンとこない方も多いと思いますが、実はこの人、マッキー・フェアリー・バンドの傑作1stでホーン&ストリングスのアレンジとレコーディング・エンジニアを務めた人物で、その彼が本作ではプロデュース~アレンジ~エンジニアを務めた上、全編にわたりキーボード演奏まで披露しています。おまけにスペシャル・サンクスには、ブルース・ハマダやマイケル・パウロなどお馴染みの名前がちらほらと。これは多分当たりだろうと試聴してみたら、想像通り当たりの一枚でした。この手のポピュラー系ボーカル作品の様式美に則り、基本は選曲・アレンジとも甘い雰囲気のナンバーで占められていますが、そうした中に都会的なアレンジのアイランド・メロウ作品が数曲収録されており、AORファンにもアピール出来る内容となっています。中でも聴きどころは冒頭A-1を飾るParadise。ロックンロール・スターからプロデューサーに転身したことで知られる故Teddy Randazzo(テディ・ランダッツォ)のペンによる作品で、Melinda Caroll(メリンダ・キャロル)なる女性シンガーをパートナーに迎えアーバンメロウな雰囲気の曲をやっています。同じハワイ系だとHeartfeltあたりが好きな人はおそらく気に入るはず。そしてもう1曲見逃せないのがB-3のAll I Ever Need。オリジナルはジョニー・マティスの渋いボーカル・ナンバーですが、ここではそれをエリック・タッグあたりに通じる跳ねたアレンジのAORでプレイしており、フリーソウルファンならやられること間違いなしです。ちなみに製作年は不明ですが、音の雰囲気から察するにおそらく80年代中盤。それなりに珍しい作品と思いますが、興味のある方は探してみてください。
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