At The Living Room Reloaded

忙しい毎日の中で少し足を止めてみる、そんな時間に聴きたい素晴らしい音楽の紹介です。

Jazz / Dusko Gojkovic - Kenny Clarke

2007-02-02 | Hard Bop & Modal
先日に引き続き、本日もまたダスコ・ゴイコヴィッチ。こちらはケニー・クラークとの双頭オクテット(Internacionalni Jazz Oktet)にて1961年のドイツで録音された10インチで、まだバークリー音楽院に留学する前のダスコの記念すべき初リーダー作です。また、このオクテットのメンバーのうち、ダスコやクラークを含む過半数の5名は、本作録音から数ヵ月後にブルーノートにてThe Golden Eightを吹き込むことになる言わば最初期のクラーク・ボラン楽団員。本作はそう言った意味では、クラーク・ボラン楽団によるサウンドのルーツを知ることの出来る貴重な一枚としても語ることが出来そうですね。さて、そんな本作ですが、肝心の内容の方はと言うと完全にバップ。ゴイコヴィッチのエキゾチックなフレージングや、クラークやボランによる洗練されたリズム・ワークスも、本作ではまだまだ影を潜めています。それらの個性が如実に現れてくるのはもう少し先の話。ただ、節々に片鱗は見えますけれどね。「欧州版チュニジアの夜」とでも呼べそうなB-1のDoo Dooshはボランのペンによるオリジナル。クラークの叩くアフロ・キューバンなドラムと、その上で暴れ回る5管の音色が格好いいジャズ・ダンサーです。名曲Balcan Blueにも通じるゴイコヴィッチのソロも聴き応え充分。そして極めつけの名演は、やはり何と言ってもA-2のSuvise Si Lepa(You're To Beautiful)。タイトルに偽り全くなし、あまりに美し過ぎるバラード・ナンバーです。ミュートを効かせたゴイコヴィッチのソロも去ることながら、ボランの弾く叙情的なピアノの音色に胸が締め付けられる最高の1曲。こちらはさながらマイルスの名曲Framenco Sketchesのヨーロッパ版と言ったところでしょうか。ジャズ批評の10インチ特集で橋本氏がヨーロッパ・ジャズ御三家の一つとして挙げるのにも納得。素晴らしい作品です。
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする