これまで見かけるたびに何度も購入を躊躇いながら、ついに誘惑に負けて結局買ってしまった一枚。瑞SwediscレーベルからリリースされたEP盤です。収録曲は例のJazz Under The Midnight Sunからの2曲のみでテイク自体もLPと全く同じですが、ジャケット裏のライナーにLP盤に関する記載がないところから察するに、おそらく発売はLPとほぼ同時期かこちらの方が先かと。ちなみに2曲とも澤野工房のリイシューでも有名なベント・エゲルプラダのコンポーズとなっています。さて、肝心の内容の話ですが、同郷ステファン・アベリーンの諸作にも似たSide-AのThe Hammocもさることながら、ここはやはりSide-BのThe Runnerがとびきりの名曲。既に旬は過ぎ去ってしまったものの、2000年代前半のクラブ・シーンを席巻したユーロ・ジャズ・ダンサーの本命と言えば、この曲を置いて他にないでしょう。この手の少しマイナー調の欧州産高速ハードバップは、本作以外にも当時のクラブで散々持てはやされましたが、個人的に最も肌に合ったのはタビーでもバッソでもゴイコヴィッチでもなく、実はこの曲とニック・アイオウブのMontreal East。高速ではありながら線の細い繊細なプレイ、そしてシックでスタイリッシュな独特の雰囲気がこの2曲の共通項でしょうか。当時はよく北欧ならではの透明感だなんて表現をしていましたが、確かにこの雰囲気は雪に閉ざされた寒冷な地域でなければ生み出すことが出来ないかもしれませんね。だからと言うわけでもないのですが、何となく毎年この時期になると聴きたくなる一曲です。これまではCelesteからの再発CDで聴いていましたが、この素晴らしいデザインのジャケットを眺めながらEPに針を落とすのもまた乙なもの。なお、この体裁及びジャケット・デザインでは英Realmからもリリースがあるようですが、同時期に発売されたものなのか後年のリイシューなのかは不明。LPの方ならばInterdisc盤は2ndという認識で問題ないようですが…。ちなみにLPのSwediscオリジナル盤は近年かなり値段が高騰している印象を受けるので、買うならばこちらのEP盤がおススメです。「沈まぬ太陽」ジャケのLPも捨て難いですが、このEPもジャケットもかなり良い感じ。写真の撮り方が絶妙ですね。
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