もう1枚続けてニコラ・コンテの新作レビュー。こちらは今のところ10インチのみのリリースで、アフロ志向の強かったアルバムとはやや赴きが異なり、タイトル通りのサンバ集になっています。最もサンバとは言ってもそこは彼のこと。いわゆる正統派のサンバではなくジャズ・サンバ、それも飛び切りダンサンブルな作品集になっているので、いわゆるクラブ・ジャズ好きの方もご安心ください。気になる中身としてはアルバム収録曲の別バージョンが二つ(うち一つは日本盤ボーナス・トラックとしてCDにも収録)と、60年代ジャズ・サンバのカバーが二つ。もちろんメインはこのカバー2曲です。まずはA-1のGroovy Samba。セルジオ・メンデス作によるタイトル通りのグルーヴィーなジャズ・サンバで、原曲はクラブ・ジャズ・クラシックスとして知られている一曲。僕自身は一度しか聴いたことがありませんが、ニコラ・コンテ・ジャズ・コンボのライブでは以前から度々レパートリーに上がっていたようなので、そう言った意味では待望の音源化というところでしょう。フロントのファブリツィオ・ボッソとダニエル・スカンナピエコを始めとしたハイ・ファイブ・クインテット勢をサイドに従え、バピッシュかつスタイリッシュなプレイをしてしています。ちなみにメンバーはほぼ同じですが、先日出たハイ・ファイブのアルバムは個人的に少し苦手。ギターで参加するニコラ自身を除けば、メンバーとしてはピアノが違うだけなのに、これだけ音全体の雰囲気が違って聴こえるのは、(プレイはどうあれ存在として)バンドの頭脳であるニコラの手腕によるところが大きいのでしょうね。また、続くA-2のSoloはJ.T.メイレレース作によるベッコ・ダス・ガハーファス発ジャズ・サンバの名曲。同時期に録音されたエディソン・マシャードのサンバ・ノーヴォでもプレイされていた曲ですが、ここではメイレレースのオリジナル盤を元にアレンジされています。特にファイブ・コーナーズ・クインテットのティモ・ラッシーによるフルート・ソロに至っては、ほぼメイレレース自身が吹くオリジナルの完コピ状態。と言うか僕の場合はまず、そもそも彼がフルートを吹くこと自体が驚きでしたが…。今度の来日ツアーでは彼も来るようなので、是非生で見てみたいです。もちろんテッポ・マキネンの高速ドラミングも。何はともあれ、来月のライブを楽しみに待ちたいと思います。
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