先日Odeon盤を紹介したムジカノッサ(68年のボサノバ復刻ムーヴメント)絡みの一枚。こちらは歌姫クラウデッチ・ソアレスのリリース等で知られるRozenblitからリリースされた盤になります。他の関連シリーズと同じく、本作もアルバム未収録の楽曲(当時の新録なのでしょうか)のみを集めたオムニバス体裁の作品ですが、大御所ジョニー・アルフや既に全くトリオではないTrio 3Dが参加している辺り、もしかしたらわりと豪華な参加メンバーと言えるのかもしれませんね。その御大ジョニー・アルフによるA-1のSamba Do Retornoは、Sexteto Contrapontoなるコンボを従えた軽快なジャズ・サンバ・ヴォーカル。お世辞にも派手な曲とは言えませんが、洗練されたピアノの音色が耳馴染み良い佳曲だと思います。また続くA-2のAlegria Da Carnavalはエキゾチックな雰囲気漂うダンサーで、どこか民族音楽にも通じるフルートが印象的な一曲。既存の枠には収まらないアドルフォの奇才ぶりが現れた好ナンバーと言えるのではないでしょうか。ただ、僕にとっての本作の目玉は、実はこれら大御所の曲ではなく異色のハーモニカ奏者マウリシオ・アインホルン(エイニョルン?)のリーダーによる2曲。例のベッコ・ダス・ガハーファス組で、以前紹介したルイズ・カルロス・ヴィーニャスのアルバムでも特に存在感の際立っていたあの人ですね。あまり詳しくないので何とも言えないのですが、彼の単独自己リーダー名義作品は60年代には他になかったと思います。そんな彼による2曲はどちらも非常に高水準なジャズ・サンバ。特にB-4のSistemaはジャズDJの方々も好みそうな疾走系ナンバーで最高にクールです。と言うよりも、ともすれば牧歌的な雰囲気になってしまいがちなハーモニカという楽器で、ここまで格好良いプレイが出来るという事実が何よりも驚き。もう1曲収録されたA-6のAlvoradaは逆にしっとりとした曲で、真夜中の雰囲気にもぴったりなジャジー・ボッサ。どこかモーダル・ジャズに通じる雰囲気もあるのではないでしょうか。ちなみに例によって、僕は派手なSistemaより洗練されたこちらの曲の方が好きです。そんなにどこにでもあるレコードではないと思いますが、見かけた際には是非チェックしてみてください。Odeon盤に比べると知名度は落ちますが、このブログを普段見て下さってる方ならきっと好きだと思います。
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