At The Living Room Reloaded

忙しい毎日の中で少し足を止めてみる、そんな時間に聴きたい素晴らしい音楽の紹介です。

Vol.2 / Finn Mickelborg Quintet

2007-12-09 | Hard Bop & Modal
こちらも久々に紹介となるダニッシュもの。ジャズの世界では比較的珍しいアルト・ホルンを吹くフィン・ミッケルボルグなる奏者のDebut盤EPです。ちなみに録音は60年で、Vol.2と冠してあるのは恐らくジャズ批評誌にも掲載されたA Bit á la Miles(DEP 46)に対してのものでしょう。但しピアノレスの変則クインテットで吹き込まれたあちらとは違い本作はピアノ入り。詳細は良く分かりませんが、この時期のDebut盤で(広義の)Jazz Quintet 60一派絡み(ボッチンスキー、アクセンetc...)でない作品としては、このミッケルボルグの2枚が唯一の作品なのではないかと思います。最もピアノのAtli Bjørn(アトリ・ビョルン?)はJazz Quintet 58に参加しているので、あの一派とは全くの無関係と言うわけでもないのでしょうが…。収録曲はオリジナル2曲にスタンダードが3曲。A-2でMy Funny Valentineが、そしてB-2で'Round About Midnightが取り上げられている辺り、それなりにマイルスの影響を受けてはいるのだと思いますが、演奏にその様が露骨に表れているかというとそんなこともなく、全体としては同時期のJazz Quintet 60周りに良く似た肌触りのダニッシュ・ハードバップになっています。中でも一番近いのは以前ここでも取り上げたJørn ElniffのLP辺りでしょうか。オリジナルの2曲もなかなかに良く、当時のデンマークにおけるジャズのレベルの高さが伺えます。特にA-3のTimenが絶品で、Jazz Quintet 60のMetronome盤に収録されていてもおかしくないような重厚ハードバップ。夜の始まりを彩るのに良く似合う至福の1分25秒です。B-1のGroovin' Highはガレスピー作。オールドタイムなウェストコースト・サウンドで快活に飛ばします。初期のバッソ=ヴァルダンブリーニ・サウンドに若干の陰影を付けたような独特の雰囲気が良いですね。そして前述B-2の'Round About Midnightはピアノ・トリオでしっとりと。マイルスの演奏に勝るとも劣らない緊迫感が素敵です。ただ、僕の持っている盤は若干盤質が悪くパチパチとノイズが入るのが玉にキズ。綺麗なのがあれば買い換えたいのですが…。
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Blue Spirits / Freddie Hubbard

2007-12-09 | Hard Bop & Modal
少し久々な感じのあるBN作品。新主流派トランペッターの代表格であるフレディー・ハバードの65年作です。これまでも3管メッセンジャーズのフロントとして良く聴いてはいたものの、意外なことに自身のリーダー作をしっかりと聴くのはこれが初めて。Open SesameやReady For Freddie辺りは中古店でも比較的良く見かける(無論オリジナルではないですよ)ので、何度か試聴したこともあったのですが、個人的にやや衝撃が少なかったこともあって何となく購入まで至らなかったんですよね。そんな僕が本作を購入するに至ったのは一重にA-2のBlue Spiritsを薦められたせい。「絶対好きだと思う」と言われ薦められ聴いてみたところ、案の定やっぱり好きでした。どこかヨーロッパの上流階級を思わせる壮大なワルツ・ナンバーなのですが、何と言ってもそのテーマ部分が印象的。ハバードのペットを含む3管のアンサンブルに乗る、ジェームス・スポールディングのフルート捌きが抜群に僕好みです。全体的に非常に優雅な雰囲気の曲ですが、12分にも及ぶ長尺なのにも拘らず少しも長さを感じさせず、むしろいつまでもこのグルーヴに包まれていたいと思わせるような珠玉のナンバー。こういう曲はある意味スピリチュアル・ジャズと言ってしまっても良いような気さえします。その他の曲では高速モーダル・バップのB-1、Outer Forcesもなかなか良い感じ。要所でエキゾな側面も覗かせつつ全体的にはスマートな演奏で、ゴリゴリのUSハードバップには抵抗のある僕でも無理なく自然に聴けます。ソロのメロディー・ラインが綺麗なところがポイントなのかもしれません。コンガを交えたB-2のCunga Blackは昨今のニュー・ジャズ好きにもアピール出来そうなミッド・テンポのラテン・ジャズ。やや土着的な演奏ではありますが、TFCQのメンバーなんかがカバーしてもおかしくないような曲です。その辺り踏まえ(僕を含めた)、欧州ジャズ以降の今のクラブ世代に向けたブルーノート入門編としても悪くないのではないでしょうか。オリジナルもそれほど高くないですし、CDでも普通に出ててi tunesでも買えます。ご興味のある方は是非どうぞ。
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