父が、5月以来の外泊で自分の家へ帰ってきた。入院生活が長いので、自分の家へ帰る事を、外泊と言ってしまう辛さ。
病室から車までは車椅子だが、その後が大変だ。車に乗るのもやっとの足で、乗ったら今度はお尻の位置を動かすのもやっと。帰る前に、どうしても墓参りをしたいというので、殿と舅の墓へ寄り、花と線香を供えた。父は降りずに、横付けにした車の中から数珠を持って手を合わせていた。幸い墓が駐車場の横にあるのでありがたいことだ。ドライブスルーな墓だ。
父母は久しぶりに、互いにとりとめのない会話を延々としていた。年寄りは、話したことを忘れ、聞いたことを忘れるようで、エンドレスな会話は続いている。良い事である。人生はエンドレスかもしれない。さして、成長もせず、ましてや齢90歳ともなれば仕方がない。しっかりしているほうである。冗談も言う。
家の椅子は座り心地がいい。うちは天国と地獄の差がある。足が弱った。と、同じことを何度も言っていた。
実家に20年ぶりくらいに泊まった。母が心配だったからだ。父は少しのお酒を、わたしの作った盃で半分飲んだ。しかし、この盃は春の絵である。筍とわらび。あっという間に、秋になったなあと思う。
タブレット端末で、YOU Tubeを聞かせた。昔の歌を聞けて、「赤木の子守唄」とか、田端義男だとか聞けることに驚き、3人で盛り上がり「カラオケ行かんでもいいんなあ。」と、言いながら父は、その後疲れたようで早めに床に入った。
次の帰宅はいつになるだろう。わたしの娘と孫がシャボン玉をしてくれて父はひと時、孫とひ孫との時間を過ごした。